立ちはだかるのは1
金曜日、定時で仕事を終わらせて、デスクでうーんと背を伸ばした。
隣の同僚から
「おっさんみたいな声出してるぞ」
と笑いながら言われる。
「おっさんですから」
そう返しながら首を回すと、コキコキと小さく音が鳴った。
パソコンの電源を落として、パタンッと閉じる。
「お疲れ様です」
上司に挨拶をして、同僚と更衣室へ向かった。
着替えながら、同僚が
「今週末はどっか行くんか?」
と聞いてくる。
「週末は久しぶりに友人たちと飲み会ですね。
宿も取ってあるのでバッチリです」
「相変わらず遠方で飲むの好きやな」
「まぁ、友達が向こうに多いので」
そう言いながら、ロッカーをバタンと閉めて会社を出る。
外はまだ少し暑くて、夕方の空気がじんわり肌にまとわりついた。
家に帰りながら、
「明日は早めにチェックインして、のんびりしてから飲み屋に向かうか」
そんなことを思う。
シャワーを浴びて、軽くストレッチして、布団に潜り込む。
翌朝、目覚ましの音で目を覚ました。
カーテンを開けると、外はしとしと雨が降っていた。「チッ、せっかくの休みに雨か」
そう独り言を呟きながら、手早く着替えてキッチンへ向かう。
少しジメジメした空気の中、トースターに食パンを放り込み、冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出してグラスに注ぐ。
パンが焼けるまでの短い時間、雨の音が窓を叩くリズムだけが部屋に響いていた。
サッと食事を済ませて顔を洗い、着替えと充電器をカバンに放り込む。
傘を片手に車へ乗り込むと、フロントガラスに雨粒が次々と跳ねて広がった。
エンジンをかけて、雨の憂鬱を振り払うように レゲエのアップテンポ を流す。
軽快なリズムが車内に広がり、ゆっくりと車を走らせると気分が少しだけ軽くなった。
渋滞もなく、ホテルには予定より早く到着した。
「余分に駐車料金はかかるが仕方ないな」
そう思いながら駐車場へ車を入れ、カバンを片手にチェックインだけ済ませる。
入室まで半時間ほどあるので、ロビーのソファに腰を下ろし、外を眺めて待つことにした。
外は、バケツをひっくり返したような雨。
遠方まで来たのに、観光は難しそうだ。
「せっかく来たから少し観光しようかと思ったのにな」
肩肘をつきながら、スマホをゆっくりスクロールして時間を潰した。




