飛び起きたのは
滝みたいに汗をかいていて、思わず息をつく。
クーラーの効いた部屋のはずやのに、なんでやろなと思いながら、枕元のリモコンを探して部屋のあかりをつけた。
光に目がシパシパして、しばらく瞬きを繰り返す。
落ち着いてからトイレに向かい、タオルで汗を拭って、冷蔵庫から麦茶を取り出してひと口飲む。
冷たさが喉を通っていく感じが気持ちよくて、
「ふぅ」
と小さく息を吐いた。
夢で何かを見た気がするけど、思い出そうとすると霧みたいに消えていく。
時計を見ると、深夜の一時を少し回ったところ。
明日も早いし、もう一眠りするか。
そう思いながら部屋に戻り、布団に潜り込むと、すぐにまぶたが重くなっていった。
翌朝、アラームの「ピピピ」という音で目が覚める。
眠気の残る体を起こしながら欠伸をひとつ。
布団を畳んで、コーヒーとトーストで簡単に朝食を済ませる。
サッと着替えて家を出ると、朝の空気が少しだけ涼しかった。
「ここのところ、なんか変な時間に目が覚めるな」
そんなことをぼんやり思いながら、休憩所でスマホをいじる。
その日は特に変わったこともなく、定時で仕事を終えた。
明日は休みやし、今日は少し夜更かししてもええか。
そう思いながら、部屋で音楽を流して、水槽のメダカがゆっくり泳ぐのを眺める。
水の揺れと光が混ざって、なんとなく心が落ち着いた。
時間を忘れてメダカを眺めていると、ゆっくりと眠気が降りてきた。
時計を見ると、23時を少し回ったところだった。
音楽を止め、布団に入り、電気を消す。
部屋が暗くなり、そのまま吸い込まれるように眠りについた。
ふと、気がつくと部屋にポツンと座っていた。
周りを見渡す。
自室のはずなのに、どこか違和感がある。
なんだ?
そう思いながら立ち上がり、何がおかしいのかを探し始める。
メダカの水槽。
机。
こたつ。
置いてあるものは全部、いつも通り。
首をひねりながら部屋を見回していると、不意に“視線”を感じ、振り向く。
ベランダに、女性が立っていた。
黒いワンピース。
長い髪。
顔は髪で覆われていて、背が高い。
見た瞬間、腰が抜けて後ろに尻もちをついた。
女性は窓ガラスに手をつき、こちらを覗き込むようにしている。
髪の隙間から見える目は、ギョロリと大きく見開かれていた。
その目が左右に揺れていた。
カツッ…
女性の湿ったような指先が、ガラスに触れた。
その瞬間、意識がふっと暗転した。
ガバッと体を起こす。
夜に閉めたはずのカーテンが開いていて、朝日がまっすぐ目に刺さった。




