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子供が見たのは?2

「せやろー?んでなー、なんやろ、なんか時代劇で出てくる履くやつみたいなんとか、ようわからんもんが外をぞろぞろ歩いててん」

「ようわからんな」

「せやねん、おっちゃん、あれなにー?」

「んー?分からんけどまた調べといたるわ」

「ほんま?ありがとう〜」

「お父さんに変わってくれるか?」

「わかったー」

「はよ寝るんやで」

「はーい」

スマホを置いたらしい音がして、少し遠くでJrの声が響く。

「お父さん、おっちゃんが変わってってー」

「はいはい、○○、風呂入っておいで」

「はーい」

そのやり取りを聞きながら、お茶をひとくち飲む。

夜の部屋はクーラーの風が静かに流れていて、さっきまでの親子の賑やかさが少し遠のいた。

やがて、スマホの向こうで友人が息を整えたような声で言った。

「おぅ、悪いな。聞いてくれて助かるわ」

「いや、ええで。」

「あれでなんかわかったか?」

友人の声は、さっきより少し落ち着いていた。

「いや、話だけ聞いてる限り分からんけど……草履みたいなん見たってことやろ?」

「せやねんな」

「まぁ、Jrは体調悪くなってないんやろ?熱出たりとか」

「それはないな」

「なら、少し様子見しときなや」

「せやな」

そこでふと、気になったことを聞く。

「逆にお前は小さな物音でも起きるのに、昨日は起きんかったんか? 前、近所の学生が家の近くで話してるだけで寝れんって言うてたやろ?」

「それがなぁ、昨日は全然起きんかったんよな」

「へぇ、珍しい」

「せやねんな。嫁にも聞いたけど全然聞いてないって」

「嫁さんもか?」

「おぅ。なんでやろ?息子の部屋二階やから、そこで聞こえてるなら俺らの部屋も聞こえなおかしいんやけどな」

「それはちょっと説明つかんなぁ」

友人が少し黙ったあと、思い出したように続けた。

「なんなら息子がトイレに起きた時って、嫁は起きて最近趣味で始めた写経してたんやけどな」

「それは渋すぎる趣味やな」

「なんか、御朱印もらいに行ったら写経したもん収めな貰えんとこあったみたいでな。それで書き始めてハマったみたいや」

「そうなんや」

「おぅ。まぁ金もかからんし、本人が楽しそうやからええねん」

「せやな」

そこで、ふと気になったことを聞く。

「写経したものは寝室に置いてんのか?」

「おぅ、せやな」

頭の片隅に似たような話を聞いたことがある気がした。

「ふーん……なら、一冊Jrの部屋の手の届かん所へ置いといたらどうや?」

「ん?なんでや?」

「まぁ、なんとなくや」

「まぁええけど……嫁に聞いてみるわ」

「なら、また今度なぁ」

「そうや、お前週末空いてないんか?」

「ん?ちょっと待ってや」

「おぅ、空いてたらうちに来いよ」

「また確認して連絡するわ」

そう言って通話を切った。

クーラーの風が静かに流れる部屋で、さっきまでの親子の声が嘘みたいに消えていく。

お茶をもうひと口飲んで、ふぅと息をついた。

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