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会釈を返したら3

彼の最後の言葉が、どこか冗談みたいに頭の中で反芻されながら、帰りの電車の時間を確認した。

休日の夕方ということもあって、駅は人で賑わっていた。

券売機に並びながら運賃を確認していると、

前に並んでいた人がふいにこちらを振り向いた。

なんとなく気まずくて、軽く会釈をする。

相手も同じように軽く会釈を返してくれた。

自分の番になり、サッと切符を買ってホームへ向かう。

少し待って電車に乗り込み、揺られながら家路についた。

家に着いてからスマホを取り出し、

『今日はありがとう

 無事帰ったよ』

とメッセージを送ると、少しして返事が来た。

『おぅ、こちらこそ

 ちゃんと会釈はして帰ったか?』

『おぅ、券売機並んでる時に会釈返してもろたわ』

『そうか、ならええんや』

『なんか知ってるなら教えてくれや』

『まぁ、気にすんな』

そこから何回か聞いてみたが、返ってくるのは

「気にすんな」

だけだった。

「ちぇっ」

と舌打ちして、夕飯を食べ、早めに寝ることにした。

その日以降、窓をコン…コン…と叩く音は聞こえなくなった。


なんでやろな……何が解決したんやろ……


後味の悪さを感じながらも、

「まぁ、寝れるようになったしええか」

と独り言をこぼし、久しぶりにゆっくり休日を楽しむことにした。

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