↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
652/666

会釈を返したら2

そんな日が二、三日続いた。

寝不足のだるさを引きずりながら迎えた週末、隣県の友人と昼にお茶をする約束があったので、少し早めに起きて準備をした。

今日は彼の地元まで電車移動だ。

顔を洗い、冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出してコップに注ぐ。

数日の寝不足のせいか、気分がどこかイライラしていて、トースターにパンを放り込む手つきも雑になる。

サッと朝食を済ませてから髭を剃り、髪を整え、オープンイヤーのイヤホンでお気に入りの曲を流す。

少し気分が軽くなったところでバスに乗り、駅へ向かった。

電車を乗り継ぎ、待ち合わせより一本早い電車で向かう。

到着してすぐ、彼にメッセージを送る。

『早いけど着いたぞー。時間潰してるからゆっくり来てー』

すぐに返事が来た。

『相変わらず早いな。今から向かうわ』

『すまんね』

『ええで、いつもの事やわ』

『へへへ、駅の南側のロータリーにおるわ』

『はいよ』

ロータリーのベンチに座り、人の流れをぼんやり眺めていると、彼の車がスッと入ってきた。

助手席の扉を開ける。

「よぅ、お迎えありがとう」

「おぅ、乗ってくれ」

手早く乗り込み、シートベルトを締める。

カチッという音を確認してから、彼は車を発進させた。

駅から少し離れたオシャレな喫茶店に車を停め、店内へ。

コーヒーの香りが広がり、なんとも心地いい。

奥のテーブルに座り、アイスコーヒーを注文する。

「元気にしてたか?」

「おぅ、元気やぞ。お前はなんか疲れてそうやけど大丈夫か?」

「おぅ、大丈夫やぞ」

そんな他愛ない話をしながら、お互いの近況を確認する。

怪奇蒐集が共通の趣味だからか、自然と話題はそちらへ向かった。

「そういや、最近なんかおもろい話は仕入れたか?」

そう聞かれ、目線を上に逸らしながら、

「いやぁ、あんま無いなぁ」

と答える。

「そうか、俺もあんま無いんよな。そういや、ここ二、三日変なことはあったんよな」

「おっ、それは聞かせてや」

そこから、直近の出来事を話した。

すると、それまで笑っていた彼が、頬を引きつらせながら腕を組んだ。

「変な話やろ?」

そう問いかけると、

「おぅ、そうやな」

とだけ言い、目線を少し下げる。

「なんか知ってるんか?」

「いや……」

そう口ごもる彼に、

なんやねん

と思いながらコーヒーを飲む。

カラン、と氷の崩れる音が響いた。

お茶会を終え、駅まで送ってもらい車を降りる時、

彼がふいに真顔で言った。

「帰りしにな、知らんやつの後ろにそっとついて、振り返ったら軽くでええからお辞儀してから帰りな」

「ん?なんでや?」

「ええからしろよ」

妙に真剣な顔で言う彼に気圧されて、

「わかったよ」

と手をヒラヒラさせながら別れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。