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余分の一枚2

居間に通されると、座布団がいくつか並べて置かれていた。

そのひとつに腰を下ろし、友人と他愛ない話をしているうちに、今日のメンバーが時間どおりに揃った。

俺と彼、そして友人家族の三人。

顔ぶれを見て、思わず声が出る。

「あれ?珍しいやん」

「ホンマやな」

「おっちゃん、久しぶり」

「おぅ、誘ってもらってな。久しぶりやな

坊も久しぶりやな、元気しとるか?」

そんな軽い挨拶を交わしていると、奥のほうから彼の声が飛んできた。

「誰か料理やらなんやら運ぶの手伝ってー」

「はいよー」

返事をして立ち上がり、奥へ向かう。

居間の机の上には、彼が作った料理と酒がずらりと並んでいた。

皿の色合いもきれいで、見ているだけで腹が鳴りそうだ。

席に戻ると、友人家族の子どもが俺の横にちょこんと座った。

「僕、今日はおっちゃんの隣にする」

「おぅ、ええで」

その一言で場がふっと和んで、みんなで笑いながら飲み会が始まった。

俺は烏龍茶、子どもはオレンジジュース。

他の三人はビールを片手に、仕事の愚痴や、子どもの学校での出来事なんかをゆるゆると話し始める。

笑い声と、グラスの氷が溶ける音が混ざって、夏の昼下がりらしい空気が部屋に満ちていた。

子供がチラチラと自分の横を見ていた。

釣られて目をやると、そこに座布団が一枚だけ余っていることに気づいた。

「おいおい、一枚余分に出したんか?」

そう彼に声をかけると、彼は首をかしげながら座布団を見た。

「あれ?なんでやろ?」

「しまっとくか?」

「おぅ、頼むわ」

立ち上がって座布団を手に取り、押し入れにしまおうとしたところで、友人家族の旦那が声をかけてきた。

「一回、縁側で叩いてからしまおうぜ」

「おぅ、ほな頼むわ」

座布団を渡すと、旦那は縁側に出て、パンパンと軽く叩いてから戻ってきた。

「なんかあんのか?」

そう聞くと、旦那は笑いながら言った。

「いや、この辺では昔から余分に出てたらこうするねん。俺の爺さんが昔からうるさくてな。お前んとこの地域ではないんか?」

「そんなん初めて聞いたわ」

そう笑いながら、押し入れに座布団をしまう。

「変わった風習もあるんやな」

そう言うと、嫁のほうも頷いた。

「うちも昔から言われてるわ」

彼も続ける。

「おぅ、うちでも言われてたな。

 そのまま仕舞うと家が腐るだなんだ言うてた気がするわ」

俺だけが首を傾げながら、

「なんかの知恵なんやろか」

とぼんやり考えていると、肩をパシパシ叩かれた。

「おっちゃん、気にしたら負けやで」

「せやな」

笑いながら飲み会の続きを楽しんだ。

あの座布団は、誰の席だったんだろうか。

そう考えた時、ゾクリと背中を冷たい感覚が走った。

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