白い双手1
仕事の昼休憩、騒がしい食堂のざわめきの中で、スマホを片手に弁当のフタを開ける。
一口食べたところで、画面がふっと光った。
友人からのメッセージ。
「よぅ、ちょっと話できない?」
箸を止めて、片手で返信する。
「おぅ、今、会社やから仕事終わりなら」
すぐに返ってきた。
「おぅ、ならそれくらいに連絡くれ」
「OK、なら仕事終わりに連絡するわ」
昼からの作業をなんとか終わらせ、更衣室で作業着を脱いで私服に着替える。
扉を開けると、まだ肌を焼くような暑さが残っていた。
会社を出て、オープンイヤーのBluetoothイヤホンを耳にかけ、友人に通話をかける。
数コール後、車のロードノイズを背に彼が出た。
「もしもしー、仕事お疲れ様ー」
「ありがとう。もしかして、こっちに向かってる?」
「おぅ、どうせなら飯でもどうよ?」
「まぁ、ええけど」
「焼肉屋、順番取ってあるで」
「相変わらず早いな」
「おぅ。どこで待ち合わせする?」
「俺、電車なんやけど駅でどうよ?」
「ええでー。18時くらいに着くわー」
「はいよー」
通話が切れた。
駅前に着いたとメッセージを送ると、すぐに返信が返ってきた。
「南口に着いてんでー」
「すぐ向かうわー」
ロータリーに出ると、ハザードをつけて停まっている彼の車が見えた。
助手席の扉を開けて乗り込む。
「よぅ、お待たせ」
「おぅ、悪いな。とりあえず店に向かうわ」
「はいよ」
車がゆっくりと発進する。
車内では、お互いの近況報告や、どうでもいいような他愛ない話が続く。
仕事の疲れが、エアコンの風と会話のゆるさで少しずつ溶けていく。
店に着くと、ちょうどいいタイミングで席に案内された。
焼けた鉄板の匂いと、タレの甘い香りがふわっと鼻をくすぐる。
空腹が一気に目を覚ます。
席に着き、コースと飲み放題をつけて飲み物を選ぶ。
二人ともソフトドリンクを頼んで、グラスを軽く合わせた。
「お疲れさん」
カランと氷が鳴った。




