ズレたのは?2
とりあえず飲み物を選ぶことになり、彼はビール、彼女はチューハイ、俺は烏龍茶を頼んだ。
おしぼりで手を拭き、ついでに顔も軽く押さえる。
「改めて、初めまして。彼の悪友の○△です」
「初めまして、□○です」
ぎこちない自己紹介を済ませて、俺が彼の方を見ると、苦笑いしながら肩をすくめた。
「実はな、この子と呑みに行った時に話が盛り上がってな。怪談とかが好きらしいねん」
「へぇ、そうなんや」
そう言って彼女を見ると少し恥ずかしそうに笑って、
「はい、実はホラーとか怪談が好きでして。お酒の席でそんな話題になって」
「それでよ、俺のツレに怪談蒐集してる奴いるぞってことになってな」
「それで今日の飲み会か?」
「おぅ、それで呼んだ」
「ちゃんと許可取ってから呼んだんやろな?」
そう言いながら彼を見ると、やや視線を逸らしながら、
「まぁ…うん」
チラッと彼女の方を見るとにこりと柔らかく笑って、
「お店に来たらもう一人いらっしゃったのでびっくりしました。」
「お邪魔しちゃってすみません」
彼女は慌てたように手を振った。
「いえ、お邪魔だなんて。実は人見知りで…」
「こういう奴で申し訳ない」
そう言いながら、俺はジト目で彼を見る。
ちょうどそのタイミングで、店員が飲み物を運んできた。
グラスを軽く合わせて、三人で小さく乾杯した。
ビールの泡がふわっと揺れて、チューハイの氷がカランと鳴る。
俺の烏龍茶は、相変わらず落ち着いた色をしていた。
「で?俺が呼ばれた理由は?」
そう彼に聞くと、彼は両手を合わせて片目をつぶりながら
「ほら、怖い話をひとつお願いしようかと思ってや」
その横で、彼女も口元を隠して笑いながら、
「良かったら聞いてみたいです」
急に言われてもな、と頭を軽くかく。
「なら、旅行先とかどうよ?」
彼が笑いながら提案する。
「いいですね」
横で彼女も手を軽く打って、期待するようにこちらを見る。
「旅行ねー」
軽く上を見ながら考える。
店内のざわめきと焼き場の音が、ちょうどいいBGMみたいに耳に入ってくる。
「まぁ、先週の話でもええか」
そう言って二人を見ると、彼は「おぅ、来た来た」という顔でニヤリとし、彼女は姿勢を少し正して、静かにこちらへ意識を向けていた。




