夏の夜に2
それから程なくして、もう二人が到着した。
全員、集合時間より前に来ているはずなのに、先に来ていた二人が後から来た二人に向かって、
「おぅ、遅刻やぞ」
「ほんまやで」
と、わざとらしく肩をすくめて笑っている。
「いやいや、時間前に到着しとるがな」
「ほんまに、お前らが極端に早いだけや」
そんな軽口が飛び交うのを横目に、俺はタープテントの袋を持ち上げて声をかけた。
「タープテント広げてくれー」
「おぅ、任せとけー」
二人が荷物を置き、慣れた手つきでタープを広げていく。
布がふわっと風をはらんで形になっていくのが気持ちいい。
「ペグ打つか?」と聞かれ、
「打たんでええで。荷物を重しにするわ。
雨降った時にすぐ片付けられるように」
そう言うと、四人が同時に笑いながら口を揃えた。
「お前がおるのに雨なんか降るかよ」
その言葉に俺も笑って返す。
そこから夕方まで、みんなで肉を焼きながら近況報告や仕事の愚痴、最近ハマっている趣味の話まで、とりとめもなく笑い合った。
夏の陽射しは強いけれど、木陰に入れば風が通って心地よい。
まだ日は高いが、それぞれ予定もあるし、「そろそろ帰るか」と誰かが言い出して、簡単に片付けをして解散になった。
「楽しかったな」
「また定期的にやろうぜ」
「せやな。でも暑いから次は春か秋の終わりやな」
「冬ってのもええぞ?」
「寒いやんけ」
「それが焚き火とスープの美味さを実感できるで」
「コテージ借りてもええな」
そんな他愛ない話をしながら、手を振ってそれぞれ車に乗り込んでいく。
エンジン音が遠ざかり、最後の一台が見えなくなると、急に周囲が静かになった。
蝉時雨がじわっと耳に広がり、木々の葉がカサカサと風に揺れる音が、ゆっくりと空気を満たしていく。
さっきまでの賑やかさが嘘みたいで、ほんの少しだけ寂しさが胸に残る。
けれど、この静けさも悪くない。
コンロに薪をくべ、炭の赤い芯に火を移す。
しばらくすると、ぱち、と小さく弾ける音とともに火が上がった。
「ふふっ……」
ランタンを車から取り出して、スタンドに引っ掛ける。
椅子に腰を下ろし、揺れる炎を眺めながら晩飯の準備を始める。
今日はホイル焼きにしよう。
玉ねぎを下に敷き詰め、その上に余った肉ときのこ類を乗せ、塩コショウをぱらりと振って封をする。
火の端にそっと置き、遠火でじっくり時間をかけて火を通す。
パンも切って、 焚き火の端に置いて軽く焼いていく。 じわじわと香ばしい匂いが漂い始めた。




