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夏の夜に1

週末の朝、玄関を開けた瞬間に、むわっとした夏の空気が肌にまとわりついた。

久しぶりのソロキャンプに向かうには、ちょっと暑すぎるくらいの天気だ。

けれど、今日はそれがむしろ嬉しい。

昼には友人たちとBBQをする約束がある。

「お前、どうせ暇やろ。肉焼こうぜ」

と、あの軽いノリのメッセージが届いたのが週初めの夜。

その一言で、久しぶりに外でのんびりする気分が一気に湧いてきた。

前日は雨だったのに、今日は雲ひとつない晴れ。

降水確率0%の文字を見て、「やっぱ俺、晴れ男やな」とひとりで笑う。

車の横に置いていたコンテナには、薪や炭、BBQコンロ、タープテント、クーラーボックスがきちんと収まっている。

冬キャンプばかりしていたせいか、夏の装備はなんだか新鮮だ。

片付けが面倒だからテントは置いてきたけれど、昼間だけならタープで十分だろう。

「肉は現地で焼くとして……飲み物どうするかな」

そんな独り言をこぼしながら、友人たちの顔を思い浮かべる。

あいつは絶対ビールを多めに持ってくるし、もう一人は氷を忘れてコンビニに寄る羽目になる。

そんな光景が簡単に想像できて、自然と口元が緩んだ。

最後にトランクへ食材を入れるスペースを確認して、バタンと軽く閉める。

金属の響きが、

“さぁ、今日は楽しむだけやぞ”

と背中を押してくれるようだった。

エンジンをかけると、フロントガラス越しに広がる青空がまぶしい。

途中のスーパーで車を停め、夜の分も含めて多めに食材を買い込んだ。

肉に野菜、タレに調味料、そして氷。

カゴがずっしり重くなるのが、なんだか“今日はしっかり遊ぶぞ”という合図みたいだった。

会計を済ませて外に出ると、夏の陽射しがもう本気を出し始めていて、買ったばかりの氷がありがたく感じる。

クーラーボックスの蓋を開け、氷と一緒に食材を放り込むと、ひんやりした空気がふわっと手に触れた。

鼻歌交じりに車へ戻り、エンジンをかけてキャンプサイトへ向かう。

早めに出たおかげで、到着したときにはまだ誰も来ていなかった。

静かな駐車場に車を停めると、夏の朝の空気が広がっていて、それだけで気持ちが軽くなる。

受付でサイト料金を払い、指定された場所へ車を移動させる。

タープやコンロ、薪や炭を下ろしていると、背後から聞き慣れた声が飛んできた。

「よぅ、相変わらず早いな」

「ほんまやで。俺らも早く着いたと思ってたのに、受付で聞いたら“もう来てますよ”って言われて笑ったわ」

振り向くと、いつもの二人がニヤニヤしながら立っていた。

その顔を見た瞬間、自然と口元が緩む。

「遅れるの嫌いやねん。何より、キャンプは準備と片付けに時間かかるからな」

そう言いながら手を上げると、二人も同じように手を伸ばしてきた。

パンッ。

夏の空に、軽くて気持ちのいい音が響いた。

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