夢で会うのは4
「そうなんやなぁ」
そう返すと、彼は少しだけ肩をすくめて、
「おぅ、それくらいしかないかなぁ…」
と呟いた。
「お前、その彼女から貰ったもんとかはどうしてんの?」
「ん?家に置いたままやな。それがどうしたよ?」
「いや、まぁ、お前の好きにしたらええけど、早めに処分した方がええんちゃうかなって思ってな」
「せやけど、物には罪はないで」
「まぁ、お前に任せるけど、執着強い子ならとは思っただけや」
そう言って、ぬるくなった烏龍茶を飲み干す。
「うーん…せやなぁ…たしかにそれで一区切りにするのも悪くないか…」
彼はそう言って、残っていた酒を飲み干した。
そこからは、お互いの仕事の愚痴や近況をぽつぽつ話し、気づけばいい時間になっていた。
会計を済ませて店を出ると、クーラーの効いた店内から一歩出た途端、むわっとした夜の暑さが身体にまとわりついた。
「じゃあな」
「おぅ、またな」
お互いに軽く手を上げて背を向けた、その瞬間。
チッ。
湿ったような舌打ちが、左の耳元で聞こえた気がした。
思わず振り返る。
けれど、見えるのは彼の背中だけだった。
「……まぁ、気のせいか」
そう自分に言い聞かせて車に戻り、家に帰って風呂に入ろうと服を脱いだ時だった。
左肩に、乾いた血がついていた。
洗面所の鏡で確認すると、小さな傷が出来ていた…
さっきの舌打ちの音が、ふと頭の片隅に残ったままだった。




