夢で会うのは2
とりあえず烏龍茶を頼むと、向かいにはすでに日本酒の徳利が置かれていた。
彼は一杯だけ飲んだのか、グラスの底に少しだけ残っている。
席に座って改めて顔を見ると、目の下に薄くクマができていた。
ここ最近の疲れがそのまま出ている感じだった。
「仕事忙しいんか?」
そう聞くと、彼は少し肩をすくめて、
「いや、そうでもないんやけどな。やっぱりわかるか?」
と返してきた。
「おぅ。顔に覇気もなければ目の下にクマが出来てりゃ、そら誰でもわかるやろ?」
そう言うと、彼は小さく息を吐いて、
「そうか…」
とだけ言った。
「どうしたよ?」
促すと、彼はグラスを指先で軽く回しながら、
「お前に連絡入れたのはな、お前なら馬鹿にせず聞いてくれると思ったからや」
と、少しだけ視線を落とした。
「ん?そんな変わった話か?」
「まぁな。普通の人には話さん内容やな」
「まぁ、とりあえず話聞こうか?聞くだけやけど」
そう言うと、彼は力なく笑って、
「お前のそのスタンス安心するわ」
と呟いた。
「そうか?聞くだけで解決は出来んぞ?」
そう言うと、彼は少しだけ笑って、
「それでもちゃんと聞いてくれるやろ?」
と返してきた。
「まぁ、そうやな」
そう言いながら、彼は徳利の酒を小さなグラスに注ぎ、 喉を通すように一気に飲んだ。
ふぅ
と息をついてから、ぽつりと話し始める。
「実はな、ここ最近、ちゃんと寝れてないねん…」
「おいおい、大丈夫か?」
「まぁ、眠りが浅いって感じなんやけどな。毎日同じ夢を見て、二、三時間で目が覚めるのを繰り返しててな」
「夢?」
「おぅ。初めは、顔が髪で隠れた女が首を締める夢やってよ。苦しいってなって目が覚める、って感じやってんけどな…」
「そら、夢見が悪いな」
「せやろ? でもな、そんな夢が続いてた晩にな、 もう一回寝る気になれんで、顔洗いに洗面所行って鏡見たらな、首に手で締めたような跡が残っててよ…」
彼はそこまで言って、グラスのふちを指先で軽く回した。




