夢で会うのは1
うだるような暑さが続いていた。
クーラーの効いた部屋で動画を流しながら、カメラのレンズを外して手入れをしていると、スマホが震えた。
ちょうど手が離せず、慌ててレンズを取り付けて出ようとしたところで着信は切れた。
画面のロックを外して確認すると、友人からだった。
いつもならメッセージが先に来るのに、いきなりの電話は珍しい。
そのままかけ直すと、コール音が数回鳴ったあと、彼が出た。
「もしもし、さっきはごめん。カメラの手入れしてて出れんかったわ」
「いやいや、こっちこそ確認もせず連絡入れてごめんな」
少し疲れたような声だった。
「大丈夫やで。いきなりの電話なんて珍しいやん、どうした?」
「いや、ちょっと聞いて欲しいことがあってな。明日休みやろ? 今からどうや?」
「ええけど、電話じゃあかんのか?」
「できたら顔見ながらの方がええかなと思ってよ」
「わかった。どこ行けばええ?」
「いつもの居酒屋でどうや?」
「OKやで。ほんなら準備して出るわ」
「おぅ」
通話を切り、「よっこいしょ」と立ち上がる。
薄手のシャツを羽織り、クーラーを切って外に出ると、むわっとした湿気がまとわりついた。
車に乗り込み、エンジンをかけてクーラーを全開にする。
夜に会いたいと言ってくるのは珍しいなと思いながら、ゆっくりと車を発進させた。
目的の居酒屋には、二十分ほどで着いた。
車を停めて「着いたぞー」とメッセージを送ると、すぐに「中おるぞー」と返ってきた。
思ったより早いな、そう思いながら暖簾をくぐる。
「いらっしゃいませ。おひとりですか?」
店員が声をかけてくる。
「いや、先に一人来てて」
そう伝えると、「お席にご案内しますね」と軽く会釈され、店内へと案内される。
週末の夜らしく、店は賑やかだった。
グラスの音、笑い声、焼き物の香り。
いつもの居酒屋の、いつもの空気。
奥の席で、彼がこちらに気づいて手を上げた。
「おぅ、すまんな」
軽く笑いながら言う。
店員に会釈してから、「大丈夫やで」と返し、向かいの席に腰を下ろした。




