↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
594/667

うわの空の理由2

昼の仕事も一段落し、そろそろ休憩でも取るかと時計を見ると、ちょうど後輩が帰る時間の少し前だった。

廊下に出ると、帰り支度をしている後輩の姿が目に入る。

「おつかれ。もう帰るんか?」

声をかけると、後輩は振り返りながら「はい、今から帰る準備だけしたら行こうと思ってました」と答えた。

その顔には、明らかに“しまった”という色が浮かんでいる。

どうやら、さっきの約束を忘れていたらしい。

「ほんまかー?」と笑いながら言うと、後輩は気まずそうに視線を落とした。

「帰る前にすまんな。

 お前、直近で夜空いてる時間ないか?」

そう聞くと、後輩は目を少し左に寄せて考え込むような仕草を見せた。

「今日なら空いてますけど…」

どこか言い淀むような返事。

「嫌でなければ、飯でも久しぶりにどうや?」

そう言うと、後輩は下を向きながら小さく言った。

「いや、給料日前で金が…」

「ええがな、それくらい出したるから」

そう言うと、後輩は驚いたように顔を上げた。

「いいんですか?」

こちらを伺うように見てくるので、

「おぅ。俺もう少し仕事掛かるから、せやな…

 18時30分に、お前ん家の近くの焼肉屋でええか?」

と提案する

「大丈夫です。でも…いいんですか?」

どうやら“給料日前に焼肉”というのが気になっているらしい。

「問題ないぞ」

そう言うと、後輩はようやく安心したように頷いた。

「わかりました。…焼肉、楽しみです」

「おぅ。なら後でな。忘れず来いよ」

軽く笑って手を振ると、後輩も小さく笑い返した。

後輩を見送ったあと、スマホを取り出して彼の家の近くの焼肉屋の予約サイトを開いた。

今日の様子を見る限り、少し余裕を持たせた方がいいだろうと思い、18時40分に二人分の席を押さえる。

予約完了の画面を確認してスマホをしまい、残っている仕事を急いで片付けた。

一区切りついたところで上司に声をかける。

「お疲れ様です」

「おぅ、お疲れ様。気を付けて帰りや」

軽く会釈して廊下に出ると、ちょうど同期と鉢合わせた。

「おぅ、お疲れ。そういや、今日後輩と飯行くわ」

そう言うと、同期は「へっ?」と目を丸くした。

どうやら今日の今日で誘ったとは思っていなかったらしい。

「いや、ちょっと仕事場覗かせてもらった時にな。様子が気になって」

そう言って笑うと、同期は呆れたように肩をすくめた。

「相変わらずそういうとこ対応早いよな」

「うるせぇ、晩飯代請求するぞ?」

冗談めかして言いながら、ぽんっと同期の肩を軽く叩いて更衣室へ向かう。

時間にはまだ余裕がある。

けれど、早めに移動しておくに越したことはない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。