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佇む人達1

長期休暇の二週間前。

そろそろどこか旅行でも行こうかと思って、ネットで宿を探しながらざっくりと計画を立てていた。

その時、実家から電話がかかってきた。

「もしもし、なんか用?」

そう言うと、受話器の向こうで父親が少し呆れたように笑った。

「おぅ。今度の長期休暇、お前のことやからどうせ旅行に出るんやろ?」

ちょうど旅行の計画を立てていたところだったので、図星を刺されて少しドキッとした。

「まぁ、そのつもりやけど。なんかあるん? 土産物のリクエストとか?」

軽く聞き返すと、父親は少し不機嫌そうに言った。

「お前、長いこと墓参りしてないやろ。今回の休暇に旅行行くんなら、ついででええから墓参りもしてこい。たまにはちゃんと手ぇ合わせてこいってことや」

確かに、何年も行けていなかった。

「わかった。ちゃんと行ってくるよ。二箇所やんな?」

「せや。ちゃんと行けよ」

それだけ言うと、父親は電話を切った。

何かあったのかな、と少しだけ思いながら、

旅行の計画を組み直す。

せっかくだし、美味い魚も食べて、温泉にも入ろう。

そう思って宿を探すと、幸いまだ空きのあるところがすぐに見つかった。

旅支度は思ったよりすぐに終わった。

必要なものを詰めていくだけで、気持ちがどんどん旅行モードに切り替わっていく。

何より、休暇が近づくにつれてワクワクが止まらなかった。

久しぶりの長距離運転に、少しだけ子どもの頃の遠足前みたいな気分になる。

当日の朝は、いつもより早く目が覚めた。

軽く伸びをしてからキッチンに立ち、コーヒーを淹れる。

挽きたての豆の香りがふわっと立ち上がって、自然とテンションが上がる。

せっかくだし、とコーヒーミルで丁寧に豆を挽き、ゆっくりドリップしたコーヒーを水筒に注ぐ。

これだけで、旅の準備がひとつ整った気がした。

荷物を車に積み込み、エンジンをかける。

まだ朝の空気が少し冷たい。

長距離運転だし、気分を上げようと最近流行っている曲を適当に流す。

正直、誰が歌っているのかよく分からない。若い子がよく聞くやつだろうなと思いながら、それでもリズムに合わせて軽く指でハンドルを叩いた。

そして、ゆっくりと家を出た。

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