とあるレジャー施設で3
担当の方は、少し肩をすくめるようにして言った。
「昔の話なんですけどね、今は使ってない施設がうちにはあるんですよ。まあ、どのエリアかは秘密にさせてもらいますけど」
その言い方が妙に楽しそうで、こちらも自然と身を乗り出してしまう。
「そのエリアから、夜中に一人で事務所にいると内線がかかってくるんですよ。
内線には発信元が出るんですけどね、決まってその場所なんですよね」
「へぇ」と相槌を打つと、担当の方は少しだけ声を落とした。
「その日の当直、私だけなんで……
絶対かかってくるわけないんですよね」
そこまで話すと、反応をうかがうようにこちらを見てくる。
怪奇譚蒐集好きとしては、ここで終わられたらたまらない。
胸の奥がむずむずして、思わず聞き返した。
「それで、かかってきた内線はどうされたんですか?」
担当の方は、照れたように笑った。
「いやぁ、怖いんで出なかったんですけど……
ずっと鳴り続けるんで、最終的に電話のコンセント引き抜きました」
笑いながら言うのに、指先だけが落ち着かない。
気になって、さらに聞いてみた。
「電話、出たらなんか喋るんですかね?」
すると担当の方は、少し懐かしむような表情で言った。
「昔働いてた同僚はね、出ても無言やったって言ってました。でも、適当に話してると向こうが満足するからか、切れるそうなんですよ」
その言い方が妙に軽くて、こちらもつられて笑ってしまう。
「面白いですね。ぜひ一度聞いてみたいですね」
そう言うと、担当の方は手を振って笑った。
「いやいや、普通に怖いんでかかってきてほしくはないんですよ。一人の時にしか鳴らないんで……」
そんな話をしていると、受付を済ませた友人がこちらに気づいて手を振ってきた。
「ごめん、お待たせ」
友人が近づいてきて、担当の方に向かって頭を下げる。
「あっ、今日はお世話になります」
担当の方は明るい声で、 「今日は楽しんでください」と笑顔で送り出してくれた。
歩きながら、ふと思う。
夜中にかけてきた“誰か”、もしかしたら、ただ寂しかっただけなのかもしれない。
そう思わないとあの電話の説明がつかなかった…
そんなことを考えながら、俺は夜までイルミネーション撮影を楽しんだ。




