ゲレンデ帰りに3
後輩は、俺たちが滑り降りてくるのを見るなり、
慌ててボードを外して駆け寄ってきた。
「おはようございます!すみません、遅れました!」
ヘラヘラ笑いながら頭を下げている。
その仕草が妙に憎めない。
俺たち3人はリフトへ向かった。
その日は、雪質も天気も良くて、滑っていると時間があっという間に過ぎていった。
気づけば太陽が傾き始めていて、ゲレンデの影が少しずつ長く伸びていく。
先輩と後輩はナイターも滑るつもりらしい。
ふたりとも体力おばけみたいなところがある。
俺はというと、太ももがそろそろ悲鳴を上げそうだったので、無理せず先に帰ることにした。
「今日は楽しかったです。また行きましょー」
そう言ってふたりと別れた。
車に戻り、リアゲートを開けてウェアを脱ぐ。
冷えた空気に触れた瞬間、サポーターの上から湯気がふわっと立ち上った。
スノーボードに来ると、だいたいいつもこうだ。
ちょっとヒーローみたいで笑える。
そう思いながら、サッと着替えを済ませる。
雪を落としたボードを車にしまい、濡れたグローブやウェアを乾きやすいようにハンガーにかける。
ゲレンデの空気は冷たいけど、どこか満ち足りた感じがあった。
「さて、帰るか」
ひとり呟いて、車のエンジンをかける。
冷え切った車体が震えるように、いつもより大きなエンジン音を響かせた。
眠気が来ないように、アップテンポな曲を流そうと、洋楽ロックのプレイリストを選ぶ。
スピーカーから流れたイントロが、車内の静けさを一気に押しのけた。




