内見で3
2軒目も、1軒目と同じような印象だった。
綺麗に管理はされているが、今度は部屋が全部和室。
畳の匂いは悪くないが、後輩は写真を撮りながらも、どうにも気に入っていない様子だった。
そんな調子のまま、3軒目、4軒目と回った。
どれも広さはそこそこあるが、やはり家賃をかなり低めに設定しているせいで、築年数が相当経っている。
天井が妙に低かったり、収納が極端に少なかったり、どこかしら“惜しい”ところが出てくる。
全部見終わったあと、後輩はガッカリした顔で俺を見る。
「家賃の関係もあるし、なかなか厳しいな」
そう言うと、後輩は「そうっすよね……」と肩を落とした。
そのタイミングで、営業さんが相変わらずのニコニコ顔で口を開いた。
「ここから少し離れますが、築浅でほぼ同じお家賃の物件もございます。もしよければ、そちらも見られますか?」
後輩は俺の方を見る。
「先輩……いいっすか?」
ここまで来たら仕方ない。
俺は軽く息をついて、
「いいぞ」
と答えると、後輩はぱっと笑顔になり、
「ありがとうございます!」
と頭を下げ、営業さんに「お願いします」と伝えた。
車で10分ほど走ったところに、その物件はあった。
3階建ての落ち着いた色合いのアパートで、外観は新しく、周囲の建物よりも明らかに綺麗だ。
営業さんに聞くと、築10年とのこと。
(周りの相場からすると、ちょっと安すぎる気もするな……)
そんなことを思っていると、営業さんが部屋の扉を開けて、
「どうぞ。中でごゆっくり見てください。私は……こちらにおりますので…」
と、いつもの笑顔で言い、扉を閉めた。
後輩は、さっきまでの古い物件とのギャップでテンションが上がっているのか、
「おおっ」と声を漏らしながら、さっと中へ入っていった。
俺も続いて入り、写真を撮りながら室内を見ていく。
部屋は綺麗にされている。
壁紙も床も、どこか新しさが残っている。
後輩はすでに浮かれ気味だ。
「ここいいっすね!
綺麗だし、値段も理想的っすよ!」
完全に決めかかっている。
「おい、もう少し落ち着け。ちゃんと見ないと後悔するぞ」
そう言いながら、俺もスマホで写真を撮っていく。
そのときだった。
リビングの入口から奥を撮ろうと、スマホを構えた瞬間、顔認証が、部屋の中央で固定された。
「……ん?」
おかしいなと思い、もう一度カメラを向けてオートフォーカスを合わせる。
やはり、同じ位置で顔認証の枠が出る。
(なんやこれ……)
とりあえず写真だけ撮り、画面を閉じる。
気になってフローリングの床をよく見ると、
その“顔認証が出たあたり”だけがほんの少し色合いが違う。
まるで床を張り替えたような感じだ
よく見ないと分からない程度の差だが…




