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内見で2

歩きながら「仕事は慣れたか?」なんて他愛ない話をしているうちに、不動産屋に着いた。

ガラス扉を押して入ると、白を基調にした清潔感のある店内で、エアコンの涼しい風がふっと頬に当たる。

受付の女性に案内され、カウンター席にふたり並んで腰を下ろした。

「とりあえずお前が先に条件とか聞いてもらえよ。俺は基本、居るだけだからな」

そう言うと、後輩は「えっ?」とこちらを見る。

「お前が住む家だろ?」

そう返すと、後輩は「あ、そうっすね」と照れ笑いした。

そんなやり取りをしていると、営業さんがニコニコしながら近づいてきた。

白いシャツにネイビーのネクタイ、いかにも“営業マン”という雰囲気だ。

「お待たせしました。事前に伺っていた条件に合うのは、この辺りになりますね」

そう言って、間取り図を4枚テーブルに並べる。

家賃を低めに伝えているせいか、どれも築年数がそこそこ経っている物件ばかりだ。

ただ、広さは悪くない。

どうするかな、と後輩の顔を見ると、

「とりあえず4件、全部回りたいです」

と、やる気満々。

仕方ない。今日は1日付き合うか、と腹をくくりながら営業さんを見ると、

営業さんは相変わらずニコニコしながら、

「わかりました。すぐに車を回してきますね」

と言って店の奥へ消えていった。

その間に後輩へひと言。

「もう少し家賃出してでも、いいとこにしとけよ」

「ギリギリっすよ……」

と苦笑いしながら返してくる。

「そうだ、内見するなら写真は撮っとけよ。スマホでいいから。親御さんにも相談するんだろ?」

「そうっすね、一回は聞くと思います。でもなんで写真?」

「間取り図だけより、部屋の感じがイメージしやすいだろ」

「あー、なるほどっす」

そんな話をしていると、店の入口側から営業さんの声がした。

「お待たせしました。行きましょうか」

ふたりで立ち上がり、営業さんの車に乗り込む。

築年数は経っているが、外観は思ったより綺麗だった。

白い外壁は多少くすんでいるが、手入れはされている。

玄関を開けると、古さはあるものの、掃除が行き届いていて悪くない。

「とりあえず撮っとけよ」

そう言って俺もスマホを取り出す。

後輩も「っすね」と言いながら、玄関・リビング・キッチンと順番に写真を撮っていく。

俺も壁の色や窓の位置がわかるように、数枚だけ撮っておく。

営業さんは後ろからついてきながら、

「築年数は少し経ってますけど、前の入居者さんが綺麗に使われてましてね」

と、にこやかに説明してくれる。

問題はトイレだった。

扉を開けた瞬間、後輩の動きが止まる。

「……和式っすか」

営業さんが申し訳なさそうに笑う。

「築年数的に、ここだけどうしてもリフォームが追いついてなくてですね。 掃除はしてますが、和式のままなんです」

後輩は苦い顔でスマホを構えたが、シャッターを押す前にそっと下ろした。

「……これは、ナシっすね」

「だよな」

営業さんも「ですよねぇ」と苦笑い。

そんな感じで1件目は終了。

2件目は、そこから歩いて3分もかからない場所だった。

住宅街の細い道を抜け、角を曲がると、次の物件が見えてきた。

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