表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
476/499

猫の声9

スマホのアラームで目が覚める。

時間を見ると、21時を少し回ったところだった。

「寝すぎたな……」

電気をつけて大きく伸びをする。

布団を片付け、先にシャワーを浴びて頭をすっきりさせる。

湯上がりの身体にコーヒーを流し込みながら、ゆっくりと意識を覚醒させた。

上着を羽織り、車に乗り込む。

エンジンをかけ、落ち着いたクラシックを流しながらゆっくりと車を発進させた。

まだ時間には余裕がある。

途中のコンビニに寄り、おにぎりとお茶を買って車内で軽く済ませる。

時計を確認しながら、彼にメッセージを送った。

『今向かってるけど、どんな感じ?』

すぐに返信が来る。

『いつでもいいぞ。俺も彼女も風呂も終わってるし、飯も終わってるよ』

『わかった。今◯◯のコンビニにいるから、あと30分くらいかな』

そう返して、再び車を走らせた。

家の近くのコインパーキングに車を停め、夜の冷たい空気を吸い込みながら歩き出す。

静かな住宅街の中、彼女の家の前に立ち、インターホンを押した。

ピンポーン。

奥からバタバタと足音が近づき、扉が開く。

「おぅ、お待たせ」

彼が顔を出した。

少し緊張したような、でもどこか安心したような表情だ。

「すまんな。彼女も奥にいるよ」

その声の奥に、“やっと来てくれた”という安堵が混じっていた。

昼と同じようにリビングに通される。

照明は落ち着いた暖色で、部屋はきちんと片付いている。

彼女はラフな部屋着だが、昼より少し表情が曇っていて、こちらを見ると無理に笑おうとしているのが分かった。

「こんばんは」と軽く挨拶を交わし、席に座る。

とりあえず他愛ない会話を始めた。

馴れ初めの話や、どっちから告白したのか、そんな軽い話題。

ふたりとも笑ってはいるが、どこか落ち着かない。

特に彼女は、会話の合間にチラチラと時計を見ていた。

二十四時が近づくにつれ、部屋の空気がじわりと重くなる。

そして、ふっと会話が途切れた瞬間、リビングがしん、と音を失った。

まるで、何かを待つように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ