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平日のお休みに3

コーヒーの入ったマグカップを片手に、彼が向かいの席へ腰を下ろした。

湯気がふわっと立ち上がって、挽きたての香りがテーブルの上に広がる。

「ありがとう」

そう言って受け取り、ひとくち飲む。

舌に広がる苦味と香りに、思わず肩の力が抜けた。

その瞬間を待っていたかのように、彼が身を乗り出してきた。

「早速やけどな、ええか?」

もう“話す気満々”の顔だ。

断ったところで止まるタイプじゃない。

「ええぞ」

そう返すと、彼は“待ってました”と言わんばかりに口を開いた。

「あんな、こないだ地元の駅前の公園で骨董市あったん覚えとるか?

まぁ、覚えてなくてもええわ。

その時にな、ブラブラ見とってんけど、なかなかええ感じの模造刀見つけたねん。

鍔の作りがな、龍の彫りが深くて、めっちゃ良かったんや」

そこまで一息で言い切ると、ようやくコーヒーに口をつけた。

「ほぅ、ええもんやったんか?話聞く感じやと、近代の美術品の、そんな高いもんには聞こえへんけど」

俺がそう言うと、彼は慌てて手を振った。

「いやいや、物自体はお前の言う通りや。

近代の美術品の模造刀やし、刃もメッキや。

でもな……手に吸い付くような握り心地でな。

思わず一目惚れしたんや」

そう言いながら、少しだけ視線を逸らす。

“ああ、これは刀の話だけやないな”とすぐに分かった。

「で? その刀見せるためだけに呼びつけたんか?」

そう言うと、彼は苦笑いしながら肩をすくめた。

「いやー……さすが長い付き合いやな。気付くか……」

言葉を濁すその様子が、逆に分かりやすい。

「おいおい、なんや。はっきりせぇや」

そう言うと、彼は目を泳がせながら頭を掻いた。

俺はニヤリと笑って、わざと意地悪く言ってやる。


「どうせ怪奇譚やろ?」


「……そんな顔で見んなよ。相変わらず性格悪いぞ。まぁ、そこがええとこでもあるんやけどな」

照れ隠しみたいに笑う彼を見て、“ああ、ほんまに何かあるんやな”と確信した。

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