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ゲレンデへの道中で2

週末までは、本当に一瞬だった。

仕事の合間にふと「あと何日やっけ」と数えるたび、

胸の奥がじわっと温かくなる。

そんな日々が過ぎて、ついに当日の朝。

ピピピ、と目覚ましが鳴る。

暗い部屋の中で、スマホの画面だけがぼんやり光っている。

時間を見ると4時半。

普段なら絶対に二度寝する時間だ。

けど今日は違う。

“ボードに行く日”というだけで、身体の奥がスッと目を覚ます。

布団から抜け出すと、床の冷たさが足裏にじんわり伝わる。

「うーん……」と声を漏らしながら、背中を伸ばして肩を回す。

まだ眠いけど、悪くない眠さだ。

インナーを着込み、フリースを重ねる。

玄関に立てかけてあるボードケースを手に取り、他の荷物も全部まとめて玄関へ運ぶ。

ゴーグル、グローブ、替えの靴下、小物をひとつずつ確認して並べる作業が、なんだか楽しい。

洗面所で顔を洗う。

冷たい水が頬を叩いた瞬間、一気に視界がクリアになる。


「よし」


鏡に向かって小さく言う。

その声が、今日のスイッチみたいに感じる。

キッチンでコーヒーを淹れて、ボトルに注ぐ。

湯気の匂いがふわっと鼻に抜けて、それだけでテンションが少し上がる。

上着を羽織り、荷物を全部抱えて玄関を出る。

外の空気はキンと冷えていて、肺に入るたびに気持ちがシャキッとする。

車に荷物を放り込み、運転席に座る。

エンジンをかけると、寒さのせいでいつもより大きめの音が響いた。

フロントガラスは真っ白。

エアコンを全開にして、ゆっくりと霜が溶けていくのを待つ。

その間にスマホで曲を選ぶ。

今日はテンションを上げたい。

アップテンポな洋楽ロックを再生する。

視界がクリアになったところで、車を発進させる。

外はまだ真っ暗。

ヘッドライトの光が、静まり返った道を切り裂くように伸びていく。

誰もいない道。

指先でハンドルをトントンと叩きながら、曲のテンポに合わせて身体が少しずつ温まっていく。


「よし、行くか」


小さくつぶやいて、アクセルを踏み込んだ。

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