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温泉で3

程よく車の上に積もっていた雪が溶け、暖気もようやく完了した。

フロントガラスの曇りがゆっくり引いていくのを見届けてから、よし、行くか、と小さく気合を入れて車を発進させる。

温泉街までは順調に進んでいた。

道路脇の雪はまだ新しく、朝の光を吸って青白く光っている。

ところが途中、高速道路の入り口で係員に止められ、

タイヤチェックのためインターを降ろされる。

ちぇっ、と舌打ちしながら車を降りると、冷たい風が顔に当たって一気に体温を奪っていく。

係員にタイヤを確認してもらい、「このまま高速戻ります」と伝えてUターン。

本線に戻ると、前に除雪車がゆっくり走っていた。

仕方なくその後ろにつき、融雪剤を巻き上げるバリバリバリという音を聞きながら進む。

フロントガラスに細かい粒が当たっては弾け、車体の下からもシャリシャリと嫌な音が響く。

こりゃ帰りに洗車しないと錆びるなぁ…

手間だけど、まあ仕方ないか。

そんなことを思いながら、目的のインターを目指した。

到着は予定より一時間遅れたが、無事に温泉に着いた。

駐車場は一面真っ白で、車はぽつぽつと数台だけ。

雪の上に残るタイヤ跡が、この朝の静けさをさらに強調していた。

よしよし、まだ人は少なそうだ。

これならゆっくり温泉を堪能できる。

期待が胸の奥でじわっと膨らみ、足取りも自然と軽くなる。

暖かい施設内に入ると、外気で冷え切っていた体が一気に緩む。

靴を脱ぎ、入浴券を買って受付へ向かう。

受付の人が「寒い中ありがとうございます」と笑顔で言う。

「寒いですね、温泉が楽しみです」そう返すと、「ごゆっくりどうぞ」と柔らかい声で送り出してくれた。

男湯へ向かい、渡された鍵の番号を探す。

ロッカーはすぐに見つかった。

扉を開けると、冷たい金属の匂いがふっと鼻をかすめる。

急いで服を脱ぎ、タオルとロッカーの鍵を手首に巻きつける。

足元のタイルがひんやりしていて、その冷たさが逆に気持ちを引き締める。

そのまま、湯気の気配が漂う風呂場へ向かった。

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