温泉で2
朝ごはんを食べ終えると、食器を流しに運んで軽く洗う。
冷たい水が指先に触れた瞬間、さっきまで残っていた眠気が一気に引いていく。
顔を洗うと、さらに頭がしゃっきりして、ようやく“朝が始まった”感じがした。
時計を見ると、まだ八時になったばかり。
この調子なら、ゆっくり準備しても十分間に合う。
そう思いながら、お風呂セットをまとめてバッグに放り込み、上着を羽織って玄関を出る。
外は相変わらず冷え込んでいて、駐車場に停めた車のフロントガラスは雪で真っ白だった。
手で払おうとしたけれど、触れた瞬間に指が痛くなるほど冷たくて、すぐに諦める。
そのまま車に乗り込み、エンジンをかけた。
キュルル、と少し重たい音がしてから、エンジンがゴウンと低く震えながら目を覚ます。
寒さのせいか、いつもより音が大きい。
暖気しながら、エアコンの温度をMAXに上げて、フロントガラスの雪と薄い氷を溶かしにかかる。
白く曇ったガラスの向こうで、雪がまだ細かく舞っているのがぼんやり見える。
その景色を眺めながら、温泉までの道で流す音楽を選ぶ。
朝の静けさに合う曲がいい。
雪の中を走るんだし、あまり騒がしいのは違う気がする。
そう思って、昔よく聴いていたJPOPのプレイリストを開く。
イントロが流れた瞬間、車内の冷たい空気に、少しだけ温度が戻った気がした。




