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温泉で1

休日の朝、カーテンの隙間から漏れる光がやけに白いと思ったら、外では細かい雪がチラついていた。

窓ガラスに触れると、指先がすぐに冷たくなる。

部屋の空気も冷え切っていて、吐いた息がうっすら白く浮かんだ。

手探りでリモコンを取って暖房を入れると、ワンテンポ遅れて室外機がブーンと低く唸り始める。

その音が、静まり返った部屋にじわっと広がる。

寒さに負けて、もう一度布団に潜り込む。

布団の中のぬるい温度が、外の冷気と対照的で気持ちいい。

部屋が温まるまでは、うねうねと寝返りを打ちながらスマホを開く。

メッセージ、SNS、ニュース、どうでもいい広告。

朝の情報が、まだ起ききらない頭にゆっくり流れ込んでくる。

その中に、温泉の動画が上がってきた。

湯気の向こうに雪が舞っていて、湯面に落ちた雪がすぐに溶けて消える。

眠気まなこをこすりながら思う。

いいな、雪見露天風呂。ああいうの、たまらなく風情がある。

時間を見ると、六時半を少し回ったところ。

この時間なら、まだ人は少ないはずだ。

今から準備して出れば、あの湯気の中に自分も紛れ込めるかもしれない。

そう思った瞬間、布団から這い出た。

布団を畳んで部屋の隅に押し込み、背中をぐっと伸ばすと、肩のあたりで小さく骨が鳴った。

パジャマ代わりのスエットを脱ぎ、ひんやりした空気に肌が触れて一瞬身震いする。

そのまま服を選んで着替え、キッチンへ向かう。

パンをトースターに放り込み、コーヒー豆の袋を開けると、香ばしい匂いがふわっと広がって、さっきまで眠っていた頭が少しずつ目を覚ましていく。

スマホで温泉の場所を調べながら、湯気の立つコーヒーを一口すする。

そのタイミングで、チーンとパンが焼けた音が響く。

冷蔵庫からバターを取り出し、焼きたてのトーストに乗せると、バターがじわじわ溶けて、表面にゆっくり染み込んでいく。

ひとくちかじると、バターの香りと熱が口いっぱいに広がった。

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