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昼休憩に3

「今日はついてないな」

そう思いながら、さっきの番号をネットで調べてみたが、迷惑電話の一覧にはまったくヒットしなかった。

「なんなんだ……?」

胸の奥にざらついた違和感を抱えたまま、次の電車に乗って最寄り駅へ向かう。

車内の揺れが妙に落ち着かず、さっきの無言の時間だけが頭の隅に残っていた。

最寄り駅に着き、いつもの帰り道を歩き始める。

街灯がぽつぽつと灯り、人通りも少なくなっていく時間帯だ。

そのとき、またスマホが震えた。

画面を見ると、昼と同じ番号。

「……ここまで来たら、逆に面白いな」

半分ヤケになって通話ボタンを押す。

イヤホンマイクを耳に押し当て、あえてこちらからは何も言わずに耳を澄ませた。

最初は、また無音。

ただ、さっきよりも“何かがいる気配”が濃い。

しばらくして、遠くでざわざわとした雑踏の音が聞こえた。

相手も外にいるようだ。

「……はぁ」

思わず小さく舌打ちをした。

イラつきというより、呆れに近い。

その瞬間だった。

チッ。

同じ舌打ちが、まったく同じタイミングで、耳元で返ってきた。

「……え?」

思わず立ち止まり、周囲を見回す。

だが、電話をかけているような人影はない。

こちらを伺う視線も感じない。

なのに、耳の奥にはまだ、“自分の舌打ちが返ってきた”感触が残っていた。

キョロキョロと周囲を確認していると、

不意に

「……みてるよ」

耳元で、小さな女の声が囁いた。

反射的に肩が跳ね、心臓が一気に早鐘を打つ。

慌てて通話を切り、近くの喫茶店へ駆け込んだ。

ひとりでいるのがどうしても耐えられず、ホットコーヒーを一杯頼んで席に座る。

店内のざわめきが、さっきの“無音”と“囁き”をかき消してくれる気がした。

コーヒーを飲み干してからタクシーを呼び、家へ帰る。

帰り道、ふと同僚の言葉が頭をよぎった。

「怪談の方から連絡してきたのかもよ?」

背筋に、ひやりと冷たいものが走る。

家に着くなり、あの番号をすぐにブロックした。

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