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旧友からのメッセージ9

宮司は車の近くまで来ると、扉に触れる前に巫女さん二人へ短く指示を出した。

「押さえつけてでも本殿に連れていきなさい」

その声は淡々としているのに、逆らえない重さがあった。

扉を開けた瞬間、彼女はまた暴れようとしたが、巫女さん二人が素早く腕を取り、ずるずると引きずるようにして本殿へ連れていく。

後部座席にいた彼にも、宮司は振り返らずに言った。

「あなたも本殿へついてきなさい」

それだけ。

説明も慰めもなく、ただ事務的に。

彼は慌てて車を降り、

引きずられていく彼女の後を追いかけていった。

宮司は俺に向き直り、短く言う。

「車を駐車場に置いて、いつも通り社務所の前で指示に従いなさい」

そう言うと、踵を返して本殿へ向かっていった

車を駐車場に置き、手水舎で手と口を清めてから社務所へ向かう。

すると、先ほど境内で合図してくれた巫女さんが にこにこと笑いながら待っていた。

「はい、軍手。そこの草引きを手伝ってください」

まるで散歩に誘うみたいな軽い調子で言う。

俺は苦笑しながら軍手を受け取り、言われた場所にしゃがみ込んで草を抜き始めた。

巫女さんも隣にしゃがみ、ふたりで黙々と草引きをする。

しばらくすると、彼女がふっと笑って言った。

「また厄介事に首突っ込んだんですか?

電話かかってきて、名前聞いた瞬間にわかりましたよ」

コロコロとよく通る笑い声。

俺は肩をすくめて返す。

「性分だから仕方ないですよ。

最近は半分趣味みたいなものです」

「危ないことしてるねぇ」

そう言いながらも、手は止めずに草を抜き続ける。

談笑しながら作業していると、気づけば太陽は真上を過ぎていた。

腰に痛みを感じて伸ばしていると、宮司さんがゆっくり歩いてきた。

「綺麗になりましたね」

そう言って、少しだけ目を細める。

「とりあえず、社務所に来なさい」

促され、俺は軍手を外してついていく。

社務所の一室には、ぐったりと椅子にもたれかかる彼女と、その横で心配そうに寄り添う彼がいた。

宮司さんは二人を見渡し、静かに、しかしはっきりと言った。

「とりあえず今日は帰りなさい。

もし何かあれば、彼を通じて連絡してきなさい」

そう言って、俺の方を一度だけ見てから部屋を後にした。

俺は二人を連れて車に戻り、彼女の家まで送り届けた。

彼はそのまま彼女の家に泊まるらしい。

心配で離れられないのだろう。

二人を見送ってから、俺はひとりで車を走らせた。

夕日が傾き始め、街の影が長く伸びていく。

ハンドルを握りながら、胸の奥でふっと思う。

今回も、何とかなったのかな。

そんなことをぼんやり考えながら、ゆっくりと家路についた。

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