旧友からのメッセージ7
電話を終えると、今度は彼女に連絡を入れていた。
俺は横から「行き先は言わんように」とだけ伝える。
“友人を紹介したい”ということにしておけ、と。
どうやら快諾を得たようで、彼は胸を撫で下ろすようにほっと息をついた。
そのあと、翌朝の迎えの時間や段取りを軽く決めて、
冷めきったコーヒーを飲み干す。
お互い立ち上がり、店を出ることにした。
帰る前に、もう一度宮司さんへ連絡を入れる。
「明日、お伺いいたします」と伝えると、電話口の向こうで、宮司さんはくすりと笑って、
「焦らず来なさい」
とだけ言った。
その言い方が妙に胸に残り、“怖いな……”と思いながら「わかりました」と返して電話を切る。
その日は家に帰り、余計なことを考えないようにして、早めに布団に入った。
翌朝。
予定時間よりだいぶ早く目が覚めた。
寝起きの身体は軽く、妙に頭が冴えている。
とりあえずコーヒーを淹れ、パンを焼く。
フライパンで卵とベーコンを炒め、焼きたてのパンに載せて簡単なサンドにする。
香ばしい匂いが部屋に広がり、少しだけ気持ちが落ち着いた。
ご機嫌な朝食をゆっくり食べてから、コートを羽織り、家を出ることにした。
車のエンジンをかけ、深く息を吸う。
今日は気分を落ち着かせるために、R&Bを小さめの音量で流した。
低いビートが胸の奥をゆっくり撫でていく。
友人宅にはすぐに着いた。
インターホンを押すと、少しして玄関が開き、彼が出てきた。
「おはよう」
「おはよう。……すまんな」
寝不足の顔をしている。
それでも、どこか覚悟を決めたような目つきだった。
彼の案内で、彼女の家へ向かう。
道は驚くほど空いていて、信号も青が続く。
まるで“急げ”と言われているような、妙なスムーズさだったが、俺は余計なことを考えないようにして、ハンドルを握り続けた。
彼女の家の前に着くと、車を停めてエンジンを切る。
「呼んでくるわ」
彼はそう言って、少し深呼吸してから車を降りた。
玄関へ向かう背中は、どこか緊張で固くなっている。
俺はシートに背を預け、流れ続けるR&Bのリズムを聞きながら、今日の段取りを頭の中でゆっくり整理した。
しばらくして、玄関の扉が開く気配がした。




