旧友からのメッセージ6
少ししてから、友人は疲れたような顔でスマホを差し出してきた。
画面には通話中の表示。
どうやら、お義母さんと話していたらしい。
受け取り、「もしもし」と声をかけると、受話口の向こうから、少し機嫌の悪い、張り詰めた声が返ってきた。
「……貴方がどうにかしてくれるのかしら?」
親として当然の反応だ。
俺は深く息を吸い、努めて落ち着いた声で返す。
「確約はできません。ただ、私自身が困った時に頼っている神職の方に連絡したところ、“明日連れてきなさい”と言っていただけました。
経験上、急ぐべきかと思いますので……明日、娘さんをお預かりしてもよろしいでしょうか」
相手の感情に引きずられないよう、寄り添いすぎず、突き放しすぎず、淡々と事実だけを伝える。
電話の向こうで、大きなため息が聞こえた。
「……はぁ……」
悩んでいるのが伝わってくる。
「このまま何もしないより、良いのではないでしょうか。おそらく病院などにも行かれたのでは?」
そう言うと、少し間を置いてから返事が返ってきた。
「……そうなのよね……でも、あなたの人となりも分からないし……預けるのは悩むわ……」
もっともな話だ。
俺は視線を落としながら、静かに言葉を続けた。
「彼は、真剣に考えて私に相談してきました。普通なら与太話として切り捨てられるのを覚悟して。私は、それに答えようと思っています。……どうでしょうか」
電話の向こうが静かになる。
数秒か、十数秒か、妙に長く感じた。
やがて、絞り出すような声で返ってきた。
「……わかったわ」
その一言に、友人の肩が少しだけ落ちた。
「彼に変わりますね」
そう言ってスマホを友人に渡すと、彼は深く頭を下げ、震える声で「ありがとうございます」と呟いた。




