表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
431/494

旧友からのメッセージ4

背筋を伸ばして、改めて聞く姿勢を整える。

彼はカップの縁を指でなぞりながら、小さく息を吐いた。

「いや、実はな……相談できるのはお前くらいしか思いつかんかったんや」

そう言いながら、無意識に爪を噛む。

昔から、悩み始めた時の癖だ。

「俺にしか相談できんってどうしたよ。金ならないぞ」

軽く笑いながら言うと、彼は眉をひそめて、

「金じゃねぇよ。金なら親に頼むわ」

と返してきた。

そのあと、声を落として、自分に言い聞かせるように呟く。

「……不思議な話になるんかな……いや、怖い話か……」

「おぉ、そっちの話か?」

そう聞くと、彼は少しだけ肩をすくめて、

「あぁ。お前、昔から集めてたやろ?

なら、なんかええ方策見つかんちゃうかなってさ」

「聞くことは出来ても解決は出来んぞ。俺は聞くだけや」

そう返すと、彼は前のめり気味に言った。

「それでもええねん。とりあえず聞いてほしい。

お前の経験とか、聞いた話から類似したもんとか、

その時どう対処したとか……なんでもええから教えてほしいんや」

その必死さに、心の中で

“おいおい……これは相当じゃないか?”

と呟く。

「とりあえず話だけは聞くわ。抱えてるのも辛いやろし。あくまで聞くだけな。解決は求めるなよ?」

そう言うと、彼は深く頷いた。

「助かる……。実はな、今付き合ってる彼女、どうも霊感があるらしいんやけどな。こないだ同棲するのに物件を何件か見に行ったあとから、様子がおかしくなったんや」

「ん?物件見てからか?それまでは?」

「特に変わりなかったんや。普通やった。

でな、先週見に行ったんやけど、広い方がええのと、車二台置けるのがええって言うて、一軒家の借家を回ってたんや」

「車二台やと駐車場代も馬鹿にならんしな」

「そうやねん。でな、古民家でめっちゃ広いのに安い物件見つかってよ。なんと驚きの7LDKの納屋付きで、4万よ。見に行くやろ?」

「それは安いけど……古民家ってことは広すぎるやろ?それに制約も多いやろ?」

「それがな、リノベーションされてて、めっちゃええ感じやったんや」

「ほう……で?家の話は置いといて、お困り事は?」

促すと、彼は少し身を乗り出して続けた。

「それ見終わって、ふたりで“ええなここ”って話してたんや。不動産屋の営業さんも感じ良かったし、案内も丁寧やった。でな、家の敷地の裏手に小さな祠と鳥居があってな。せっかくやから手ぇ合わせて帰ったんや」

「それ、よう手ぇ合わせよう思たな」

「いや、なんとなくや。深い意味はないで。

で、帰ってきてから急に彼女が“あの家に決めよう”って言い出してな…

いや、あと何件か見るって言うてたやんでも聞かへん。“あそこにしよ”の一点張りや」

「……ふむ」

「それだけなら良かったんやけどな。その日の夜、彼女送り届けて帰ったら、彼女のお母さんから電話かかってきてな。“様子がおかしいんやけど、なんか知らん?”って」

「様子がおかしい?」

「急に……鶏肉、生で食べようとしたらしいねん」

「おいおい……奇行って言う感じじゃないやん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ