旧友からのメッセージ2
いつもより一本早い電車に間に合い、滑り込むように乗り込んだ。
ドアが閉まる直前、息を少しだけ切らしながら車内に立つ。
なんで自分がこんなに急いでいるのか、ふと不思議に思う。
けれど、今日は急いだ方がいい。
胸の奥に、そんな感覚がじわっと広がっていた。
理由ははっきりしないが、こういう“予感”がある時にのんびりしていると、後で後悔することがある。
昔からそういうところがある。
吊革につかまりながら、窓の外に目を向ける。
夕方の空はすでに暗くなり始め、街の灯りがぽつぽつと点き始めていた。
金曜の夜特有のざわついた空気が、ガラス越しに伝わってくる。
「一体なんの話なんやろな」
そう思いながら、揺れる車内で軽く背伸びをした。
駅に着くと、改札前は仕事帰りの人たちで賑わっていた。
その流れに逆らわないように歩きながら、雑踏の中を泳ぐように抜けていく。
人にぶつからないように身体を滑らせるようにして進むと、目的地の喫茶店が見えてきた。
ガラス越しに店内を覗くと、窓際の席に彼がすでに座っていた。
背筋を伸ばし、手元のカップに視線を落としている。
昔と変わらない姿勢やな、と胸の奥が少しだけ懐かしくなる。
「やっぱり、早く来て良かったな」
そう思いながら、店のドアを押した。
カウンターでコーヒーだけ注文し、番号札を受け取る。
歩きながら席へ向かうと、彼がこちらに気づいて顔を上げた。
目が合った瞬間、ほんの一拍だけ間があって、それから口元が少しだけ緩む。
席に近づくと、彼はカップを指先で軽く押しやりながら言った。
「相変わらず予定時間より早く来るな」
その言い方が、昔とまったく変わっていなくて、胸の奥がふっと軽くなる。
久しぶりに会ったはずなのに、距離感だけはあの頃のままやな、と思った。




