喫茶店にて2
「いや、暇してたからいいぞ」
そう答えつつ、ついでに聞く。
「今日は相棒は?」
「中で待ってるぞ」
どうやらだいぶ早く来ていたらしい。
むしろ、最初に連絡を入れてきた時点で、もう店に着いていたのだろう。
喫茶店のドアを開けると、友人は店員さんに「連れが来たから」とだけ伝えていた。
どうやら俺が来ることは“確定事項”だったようだ。
相変わらずの用意周到さに、少し呆れを滲ませつつ、人目の少ない奥の席へついて行く。
そこでは、彼の相棒の女の子が 湯気の立つホットコーヒーを両手で包みながらカップを軽く上げて、
「やっほー」
と明るく声をかけてきた。
ほんとにこの二人、
性格の明るさがずば抜けているのに、
なんで心霊系なんかやってんだか……
そんなことを思いながら席につく。
向かいに友人も腰を下ろし、水を一口飲んでから、ようやく落ち着いたように息をついた。
「いや、来てくれて助かったわ。
ちょっと聞いてほしい話があってな」
相棒の女の子も、コーヒーのカップをソーサーに戻しながら頷く。
「そうそう。この人、撮影のあとからずっと“誰かに話したい”って言っててさ。でも私に話しても“またか〜”って言われるだけやし」
「お前、そんな扱いなんか」
「いや、まぁ……否定はできんけどな」
三人で軽く笑う。
昼下がりの喫茶店は静かで、他の客の声も遠く、ここだけ時間がゆっくり流れているようだった。
「で、何の話なん?」
そう切り出すと、友人は少しだけ姿勢を正し、コーヒーを置いてから俺の方を見る。
「先週の撮影な。ちょっと……いや、かなり変なことがあってん」
相棒の女の子も、さっきまでの軽い表情から一転して、少しだけ真面目な顔になる。
友人は一度だけ深呼吸して、声を落とした。
「……順番に話すわ」




