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深夜の電話口1
休日の夜、スマホが震えた。
画面を見ると、珍しく友人からの着信だ。
「よう、こんな時間にごめんな。今から出れへんか?」
少し申し訳なさそうな声が聞こえる。
「おぅ、珍しいな。どうしたん?」
そう返すと、友人はため息まじりに言った。
「実はな、事故ってもうてさ。車レッカー移動になったんやけど、帰りの足がどうしても見つからんでな……助けてくれへんか?」
「大丈夫かよ?どこおるんよ?」
「体は平気や。〇△の喫茶店前におるねん」
時計を見ると、確かにタクシーを捕まえるには微妙な時間帯だ。
あの辺りは店も少なく、時間を潰せる場所もない。
「ええで。ちょっと時間かかるけど迎えに行くわ」
「ごめんな、助かるわ」
「ただし、絶対そっから動くなよ。お前、よううろちょろするねんから」
「わかっとるって。大人しく待っとるよ」
そう言って電話は切れた。
部屋着から慌てて着替え、上着を羽織って外へ出る。
車に乗り込み、エンジンをかけて少し暖気をする。
「ほんま珍しいな……あいつがレッカー呼ぶレベルの事故なんて」
そう思いながら、気分を上げようとレゲエを選んだ。
夜も深い時間だが、目的地までは15分ほど。
「じっとしててくれてるかな」
そんなことを考えながら、アクセルを踏んだ。




