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喫茶店で3

彼の注文したモーニングも届き、お互い食べ終わるまで黙々と食べた。

気を遣う必要もない、いつもの距離感だ。

食後にコーヒーのおかわりを頼み、湯気が立ちのぼるのを眺めながら、何の気なしに口が動いた。

「お前が俺の席に来たってことは、なんかあったか」

深い意味もなく聞いたつもりだったが、

友人はすぐに返してきた。

「おう。なんか今日は会える気がしたんや。

 来てみたらほんまに座っとったからな。

 これは、お前に話をするべきやって思ったんや」

そう言って、彼はコーヒーのカップを両手で包むように持った。

その仕草が、いつもより少しだけ慎重に見えた。

店内の静けさは変わらない。

マスターがカウンターで豆を挽く音、外を歩く人の足音、窓から差し込む柔らかい光。

その全部が、友人の言葉の続きを待っているように感じられた。

「まったく、それで会えんかったらどうするつもりやってん?」

そう言うと、友人はコーヒーの湯気越しにこちらを見て、口の端だけで笑った。

「おぅ。その時はまた、会った時に話せばええと思ってたよ」

軽い言い方なのに、妙に“本気”が混じっている。

昔からそうだ。

彼の言葉は、冗談みたいでいて、どこか揺るがない。

「そうか」

そう返すと、彼はカップを指先で軽く回しながら言った。

「実際に会えたしな。

 こういうの、俺は昔からあるんや。

 “会うべき時に会う”っていうか……

 なんか、そういう縁みたいなんがな」

言いながら、彼は視線を窓の外に向けた。

朝の光が彼の横顔に落ちて、その表情が少しだけ大人びて見える。

彼は昔からこういう縁がある男だ。

待ち合わせをしていなくても、ふとした場所でばったり会う。

こちらが忘れていた話を、まるで“今がその時”と言わんばかりに持ってくる。

偶然にしては出来すぎていて、でも、彼が言うと妙に納得してしまう。

コーヒーの香りと、朝の静けさと、彼の言葉の重さが、ゆっくりと同じカップに溶けていくような感覚があった。

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