喫茶店で2
今日はゆっくりコーヒーを楽しめそうだ。
そう思いながら、ほかのお客さんの話し声をぼんやり聞きつつ、のんびりコーヒーが来るのを待つ。
この時間もなかなか乙なものだ。
少し待つと、コーヒーとモーニングが届いた。
トーストのバターの香り、スクランブルエッグの湯気、サラダにヨーグルトまで付いてくる。
朝からちょっとしたご褒美みたいだ。
いざ食べようとしたその時、喫茶店の入口がチリンと音を鳴らしながら開いた。
思わずそちらに視線を向けると、近所に住んでいる友人だった。
彼はこちらに気づくと、返事を待つ気なんてまったくなさそうに、そのまま当然のように向かいの席へ腰を下ろした。
座ってから、ようやく「いいか?」と聞いてくる。
「いいぞ」と返すと、ちょうどそのタイミングでマスターが水を二つ持ってきた。
俺の分はすでにあるので、新しく置かれたグラスは友人の前に静かに滑らせるように置かれる。
「おはようさん」
マスターが軽く会釈して去っていく。
友人は「どうも」とだけ言って、まだ冷たい水をひと口飲んだ。
「朝から珍しいな、お前がここにいるなんて」
そう言いながら、彼はグラスを指で軽く回す。
「たまにはな。今日はゆっくりしたかったんよ」
そう返すと、彼は「わかるわ」と笑った。
店内には、相変わらず穏やかな空気が流れている。
カウンターの奥でマスターがカップを拭く音、
新聞をめくる音、外から差し込む柔らかい光。
時間が少しだけゆっくり流れているように感じる。
「それ、うまそうやな」
友人が俺のモーニングを覗き込む。
「頼めばええやん。前から好きやったやろ」
「そういやそうやったな」
彼は店員を呼んで、同じモーニングを注文した。
その間に、俺はようやくトーストに手を伸ばす。
バターがじんわり染みていて、香りだけで幸せになる。
友人は注文を終えると、椅子の背にもたれかかりながら外の景色を眺めた。
まだ人通りの少ない朝の街が、窓越しにゆっくりと動いている。
ただ、朝の喫茶店で、友人と並んで過ごすだけの時間。
それが妙に贅沢に感じられた。




