喫茶店で1
休みの日、久しぶりに朝から喫茶店でモーニングへ行こう。
そう思い立って出掛けることにした。
顔を洗い、髪を軽くとき、上着を羽織って車に向かう。
エンジンをかけると、快調な音が静かな住宅街に広がった。
暖気をしている間に、今日は洋楽の気分だとふと思う。
軽快なリズムが車内に流れ、まだ眠っている街とちょうどいい対比になった。
「どの店に行こうかな」
そう思いながらスマホを開く。
近所の、最近ご無沙汰の店が目に入った。
今日はそこがいい。
理由はないけれど、そんな気がした。
ゆっくり車を走らせると、数分で店に着く。
車を停めて、軽く伸びをしてから店内へ入る。
コーヒーのいい香りが鼻をくすぐった。
この店特有の、少し深めの焙煎の香りだ。
朝の空気と混ざって、なんとも言えない心地よさがある。
カウンターの奥では、マスターが静かにカップを拭いていた。
こちらに気づくと、軽く会釈を返してくれる。
その仕草だけで、なんとなく安心する。
窓際の席に座ると、柔らかい光がテーブルに落ちていた。
外の空気はまだ少し冷たいけれど、店内はほどよく温かい。
メニューを開くまでもなく、頼むものは決まっている。
「モーニングセット、お願いします」
そう告げると、マスターは「はい」と短く返し、
奥でパンを焼く音が聞こえ始めた。
ただそれだけの朝。
でも、こういう時間がいちばん贅沢なのかもしれない。




