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友人からの預かり物6

「とりあえず、これは置いて今日はもう帰れ。

どうするかは……これから考える」

そう言うと、友人はどこかほっとしたように、しかし申し訳なさそうに、

「……わかった。すまん」

とだけ言った。

玄関まで送り出し、扉が閉まる音を聞いたあと、

部屋に静けさが戻る。

テーブルの上には、ぽつんとマキリが置かれている。

「……どうしたものか」

思わず声に出た。

預かってほしい、とは言っていたが、本音は、引き取ってほしい、だろう。

ご住職に電話するか……と一瞬思う。

だが、その前にどうしても気になることがあった。

刃の状態を確認したい。

知的好奇心というやつだ。

マキリの伝承も知っている。

怖さも、もちろんある。

葛藤も、当然ある。

それでも、目の前にある“物”が、どうしても気になった。

そっと柄を持ち、呼吸をひとつ整えてから、ゆっくりと引き抜いた。

その瞬間、胸の奥がひやりと冷えた。

刃に、赤黒いものがこびりついていた。

乾いているのか、湿っているのか、判別がつかない。

ただ、そこに“何か”があるのは確かだった

「……あかんやつやな」

思わず呟き、すぐに刃を鞘へ戻す。

手の中の温度が、妙に冷たく感じた。

これは、俺ひとりで判断していいものではない。

そう思い、アイヌ文化に詳しい友人の名前をスマホで探し、迷わず発信ボタンを押した。

呼び出し音が鳴る間、テーブルの上のマキリは、ただ静かに横たわっているだけなのに、部屋の空気がじわじわと重く沈んでいくように感じた。

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