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友人からの預かり物4

「待て。出す前にどこで手に入れたもんか言うてからにしろ。お前が持ち込むもんは、何かしら厄介なもんしかないやろ」

そう強めに言うと、友人はぴたりと動きを止めた。

笑いの残り香みたいなものが、すっと引いていく。

顔が、ほんの一瞬だけ引きつる。

「……なんで分かるんや……」

声がさっきより低い。

軽さが抜け落ちて、喉の奥で重たく沈んでいる。

友人はバッグをそっと床に置き直した。

まるで、急に中身が重くなったみたいに、慎重に。

しばらく黙ったまま、指先で自分の膝をさすっていた。

言葉を探しているというより、言いたくないことを無理やり引きずり出しているような沈黙だった。

やがて、ゆっくりと息を吐き、視線をテーブルの木目に落としたまま話し始めた。

「……実はな。こないだ、海外の友達と飲む機会があってな」

声が少し震えている。

普段のあいつなら絶対にしない喋り方だ。

「そこで……日本の古い小刀や、言うて……貰ったんや。木彫りの入った、ちょっと変わったやつでな」

言葉の途中で、友人は自分の右手を無意識に握った。

その指先には、小さな絆創膏がいくつも貼られている。

「……それからや。やたらと手を怪我するようになったんは」

その一言だけ、妙に重かった。

部屋の空気が、ひとつ沈んだみたいに。

「怪我って……どういう意味や」

そう聞く前に、友人はゆっくりと手を開いた。

指の関節、爪の脇、手のひらの端

細かい傷が、まるで“増えていく途中”みたいに散っている。

「触ってへんのに、切れてんねん。

気づいたら血……いや、傷が増えとる。

寝てても、風呂入ってても……関係あらへん」

声がかすれていた。

喉の奥で、何かを押し殺しているような響き。

「でな……昨日の夜、とうとう……」

そこで言葉が止まる。

友人はバッグのほうに、ゆっくり視線を落とした。

その目つきが、“あれを見たくない”と、はっきり言っていた。

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