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深夜の電話6

そこまで話すと、受話器の向こうで友人が大きな欠伸をした。

さっきまで普通に喋っていたはずなのに、急に気が抜けたような音だった。

「眠いんか?」

そう聞くと、

「急に眠気きたわ」

と、さっきまでの調子とはまるで違う、力の抜けた声が返ってくる。

まるで、話し終えた瞬間に“何か”がふっと肩から落ちたみたいな、そんな響きだった。

「そうか。最後に、大体の場所だけ教えてや」

そう言うと、友人はスマホをいじる音を立てて、

すぐに位置情報をメッセージで送ってきた。

「ここやな」

画面を確認しながら呟くと、

「とりあえず眠いから今日は着替えて寝るわ」

その言葉も、どこかぼんやりしていた。

まるで、電話の向こうで急に意識が遠のいていくような、そんな気配すらあった。

そう言って、あっさり電話を切られた。

通話が途切れたあと、部屋の静けさが戻る。

だが、胸の奥にざらつくような違和感が残ったままだ。

さっきまで普通に話していたのに、あの急激な眠気はなんだったのか。

気になって、送られてきた位置情報をマップアプリで開く。

そのまま、事故物件情報のサイトへ飛んだ。

火事や事件の履歴も載っているので、こういう調べ物にはちょうどいい。

住所を入力し、検索結果を確認する。


10年以上前に全焼。死者2名。


その一行を見た瞬間、背筋に冷たいものが走った。

友人は、本当に“たまたま”通っただけなんだろうか。

彼は自分のことを0感だと豪語しているが、なぜか昔から、妙な話をぽろっと持ってくる。

あれは場所の記憶なのか。

それとも、亡くなった二人の未練なのか。

あるいは、さっきの急な眠気も、何か関係があるのか。

答えは分からない。

ただひとつ分かるのは、あいつは相変わらず、不思議な話をまるで雑談みたいに話しやがるということだ。

そう思いながら、湯呑みに残った冷めたお茶を一気にあおった。

渋みが舌に残り、妙に現実へ引き戻される。

深夜の部屋は静かで、さっきまでの電話の余韻だけが、まだどこかに漂っていた。

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