第67話 白毛ダンジョン
俺は帰宅するなりすぐさま研究室へに入った
所長からもらった回復薬を試験管へと移し、スポイトで吸い取り紙に染み込ませて魔力色覚顕微鏡へとセットした
「んー。なるほど。光魔法に雷、あとは水か…。これなら再現できそうだな」
この作業は回復薬を再現できないか試している。つまり回復スキルを擬似的に魔法で再現することで回復魔法の開発を行うつもりである。
顕微鏡で見てみると光魔法が大半を占めておりそこに雷と水魔法が組み合わさってできている。対比で言えば8:1:1と言ったところだな。
「雷の魔法で細胞分裂回数を上げて、水魔法で溶けやすくしている。それを光魔法で効力の底上げってとこか」
言うは簡単だが、実際にやるとなるとかなり難しい。
帰ってきてから3時間ほど没頭したものの俺の魔力が先に底をついてしまった。
もう少し研究をしていたかったがこれ以上は集中力がもたないため中断だな
俺は寝る準備を整えてベッドに入り横になると腕につけた携帯で画面を開いていた
「魔法薬1つでは心許ないからせめてもう少し余裕がほしいな」
回復魔法の研究は魔法薬を量産するための前段階である。今のところ魔法薬はダンジョンのドロップアイテムのみ手に入るので俺は探求者のダンジョン攻略ページを開いて回復薬が手に入れられるダンジョンを探していた
「学校の休みはあと1週間以上はあるから、それなりの難易度のダンジョンには行けるかな?できれば近場がいいけど」
そんなことを言いながら画面をスクロールしていると俺の条件に見合ったダンジョンを見つけた
「…白毛ダンジョン。場所は、群馬県伊勢崎市にあるのか。しかも未開拓のSランクダンジョン」
記載されている内容は、攻略済み階層45階の未開拓。それと45階層までで手に入ったアイテム一覧ってとこだ。45階層までで魔法薬もドロップできるらしい
「シーカーランクも上げておきたかったし久しぶりのSランクダンジョンに行ってみるとするか」
探求者ランクにも上げる条件というものが存在する。異世界アニメなどでお馴染みだが、自身と同ランクのダンジョンを攻略した回数によりランクは上がる仕組みだ。ちなみにSランクからSSランクまで上がるにはSランクダンジョンを最低3つクリアする必要がある
「Sランクダンジョンは1つしかクリアしてないからな。まぁ、とにかく回復魔法の開発を最優先だな」
目を閉じて回復魔法について考えているうちに俺は深い眠りについていた
一夜明け早速研究室にこもり魔法の開発に明け暮れていた
「俺は魔力量が少ないから実験自体回数を重ねられないのが困るところだな」
朝から昼にかけて回復魔法の研究は行った結果回復魔法の完成に成功はしていた
だが、どうしても魔法の配合量で回復魔法の効果の発揮具合が変わってしまうため微調整を行っているところである
「さて、これでどうかな?」
俺は親指の先端を針で傷つけた
回復魔法を使うたびに一度怪我をしないといけないからドMになりそうだよまったく
「回復魔法!!」
するとすぐに傷は消え、元通りの親指に戻ったのだった
「よしっ!回復速度も今までで1番早いな!これで回復魔法の完成だ。あとは、魔術式をデータ化してテールムに埋め込める様にすれば終わりだなっ」
そして次の日
朝早くから白毛ダンジョンに向かうため冒険服に着替えていた
冒険服に着替え終わると外にあるバイクのナビを設定して跨った
「本当に大丈夫なの?」
母さんが心配そうな顔で言った
母さんが心配するのも無理はない。竜神ダンジョンで怪我をして帰ってきてすぐに違うダンジョンに向かおうとしているのだからな
「本当に大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
「母さん、夏もいつまでも子供じゃないんだ。心配ないさっ。今日から父さん達も研究所に戻るから何かあったらすぐに知らせるんだぞ?」
こうゆう時の父さんは頼りになる
「わかってるよ。じゃ、行ってくる!」
まだ朝の5時だというのに見送ってくれる俺の親には感謝したいものだ
「気をつけてね!無理はしないことよっ!」
母さんと父さんが見送る中俺はバイクを走らせたのだった
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