第60話 魔法研究
校外学習から1週間が経ちいつのまにかGWも終わっていた
そして俺はと言うと、1週間自宅休養でどこにも出かけず家に引きこもっている状態だった
俺は自宅の研究室で顕微鏡に似た物に目をかざしてある物を見ていた
「なるほどな。魔力の組み合わせでこうも変わるとはな。それにしてもこの魔力色覚顕微鏡は便利だな」
この顕微鏡は魔力色覚顕微鏡といい、俺の全財産約3000万円の内2000万円ほどかけて作った完全オリジナルの代物だ。サイズは普通の顕微鏡の5倍くらい大きい。
魔力を吸収させた紙を顕微鏡にセットするとその魔力が色として見れるようになっている。
で、なぜ俺がこの顕微鏡を作ったのかと言うと、新しい魔法の開発に勤しむ為である
ファンタジーゲームやアニメなどでは魔法を組み合わせて強大な新しい魔法を作る要素があるが、何せ魔法時代が始まって1年と少ししか立っていない現代ではそんな魔法は使えないのである
「さて、部屋に戻ってゲームでもするかな」
俺は白衣を研究室の壁にかけて自室に戻った
ベッドの上に寝転びながら腕の携帯から画面を開きゲームを始めた
コンッコンッ
窓からノックの音が聞こえる
ん?ここは3階だぞ?
まさか!
俺はすぐにカーテンレースを開けて外を見ると宙にフワフワと浮かびながら笑顔で手を振る千冬がいた
「千冬!なにてるんだよ!」
俺はすぐに窓を開けた
すると千冬は宙に浮きながら窓から俺の部屋に入ってきた
「どぉ?結構浮遊魔法に慣れたものでしょ?」
千冬が腕を組みドヤ顔で俺の方を見てきた
「まったく。慣れたのはいいが、人の家のそれも窓から入ってくるなよ」
千冬が今使った浮遊魔法は俺が魔力顕微鏡で開発した魔法である
闇魔法と光魔法、風魔法を組み合わせることにより出来上がった浮遊魔法をテールムに術式として組み込むことで発動できるようにしたのだ
当初は空を飛べるようにと作って見たものの宙に浮くのが精一杯という結果になった。それでもジャンプと同時に使えば跳躍が上がるし、跳躍時間も伸びる。
それにしたって地面から6.7mはある三階の窓まで浮けるのだからすごいと思って欲しいものだがな
「で、なんで来たんだよ?」
俺はプレイしていたゲームを終わりにして言った
「それがね!これ見てよっ!」
俺の目の前で持っていた雑誌を開き見せた
その雑誌はコンビニや書店で売っている月刊シーカーと言う探求者向けのトレンドやランキング、ダンジョン情報などが載っている雑誌だ
んー。なになに…
『4人目のレベル5現る!帝都シュレイト高校在籍の一青 千冬さん。スキル【氷姫】を自在に操り最強の氷の姫が頂点へ!!そのクールな容姿と美しさ、心に抱いたホットな思いは氷の女王の名に相応しい。愛用のテールムは十士道。これを聞いたノーザンクロスは氷漬け!?』
はぁ?誰が氷漬けだっ!
「おい、千冬。これお前だよな?」
「そーよ!すごくない!?雑誌に載れるなんて夢見たいー!」
いやいや。そう言う事ではないだろ。
というか、この雑誌の表紙にも千冬が載っているし、千冬の特集ページは10ページ以上もあるぞ!しかも、お洒落な冒険服を着てポーズまでとっているし、こいつノリノリだな…
「それで、自慢しにわざわざ来たってわけか」
たしかにギルドには自身のランクを報告する必要があるわけだが、レベル5ともなるとこんなに大々的に紹介されるものなんだな。一応スキルも個人情報の一つなんだが。
「それもあるんだけどさっ!ちょっと記者の人達が玄関に来てるから逃げてきたのよ!ほら、見て!」
俺は窓から隣の千冬の家の玄関を覗くと3.4人ほどのマイクやカメラを持った人達がいた
「まったく。こうなるのが嫌なら引き受けなければよかったじゃないか」
「えへへへ。まさかこうなるとはねぇ〜」
千冬が俺と一緒に窓から記者を除いた
「あ!!こっち向いた!夏、隠れて!」
千冬が俺のことを突き飛ばすと一緒にベットに倒れた
「おい、いきなり突き飛ばすな…」
千冬の顔が目の前に現れた言葉を詰まらせた
トンットンッ
ドアのノックと共に母さんが入ってきたのだ
「あ…。ご、ごめんねぇー!お邪魔だったみたいねっ!」
母さんがにかけ顔で俺達を見ると
俺と千冬は急いでベッドから立ち上がり離れた
「いやっ!だ、大丈夫だっ!な、何か用?」
「お昼ご飯できたから呼びに来たのよぉ。千冬ちゃんも居たのね!なら、千冬ちゃんの分も作るから台所に降りてらっしゃい!」
「勝手にお邪魔してすいません!ありがとうございます!」
千冬は顔を赤くして声を高めて言った
「いいのよぉ〜!15分くらいはかかるからそれまではご自由にっ!」
そう言って母さんはキャピキャピしながら出て行った
絶対に何か勘違いされたな。不幸だ…
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