第61話 平和な日常
お昼ご飯が出来上がると同時に母さんが俺と千冬を呼んだ
俺達はその声を聞きダイニングに向かった
ダイニングではテーブルの上に4皿の冷やし中華が並んでおり、そろそろ夏なのだなと実感させられる
一方、リビングでは父さんが部屋着である甚平を着て新聞を読みながらくつろいでいた
「あれ?千冬ちゃん?いつ来たの?」
父さんが千冬に気づくと読んでいた新聞の画面を閉じて言った
「お邪魔してまーすっ!さっき浮遊魔法で夏の部屋から来ました!」
千冬はテーブルの椅子に腰掛けて言った
「結構な高さまで浮遊できるようになったんだね!魔法を開発した夏もすごいけど使いこなせてる千冬ちゃんもすごいじゃないかっ!」
そう言って父さんも席に着くと『いただきまーす』と全員が言い、冷やし中華の麺をすすった
「そういえば体の方は大丈夫なの?夏?」
「あぁ、大丈夫だよ母さん。もうダンジョンに行けるくらい回復はしてる」
「すーぐダンジョンに行きたがるんだからー」
千冬が呆れて言った
「ハハッ。それが夏らしいけどね」
父さんが笑いながら言った
「そういえば父さんに見せたい魔法があるんだけど」
俺は席を立ち上がった
「また新しい魔法か?」
「あぁ。転移魔法なんだけどな。まぁ、見ててくれ。転移魔法!!」
するとテーブルの上にあった冷やし中華の皿の下から魔法陣が発動して皿ごと消えた
そして、ダイニングのテーブルからリビングのテーブルへと転移したのだった
父さんはガタッと音を立てて立ち上がった
「す、すごいじゃないか!!転移魔法を開発するなんて前代未聞だ!!」
「ハァハァ。あぁ、そうだな」
「ん?どうしたんだ?そんなに息を上げて」
「転移魔法を開発したのはいいんだが、この魔法は相当な魔力が必要でな。皿一枚を転移させるだけで俺の魔力をごっそり持っていってしまうんだ」
俺は転移した自分の昼飯を取りに行きながら言った
「そうかー。強力な魔法にはそれなりの魔力が必要なんだな」
「ちょっと2人ともっ!!今は食事中よ?いい加減にしなさい!!」
「あ…ごめんごめんっ!」
父さんは頭の裏をかきながら謝り食事に戻った
『ごちそうさまでした!!』と全員が口を揃えて言い昼食は終了したのだった
「それで話は戻るけど、転移魔法を使う術はできてるのかい?」
父さんが洗い物をしている母さんを横目に食後のお茶を飲みながら言った
「一応な。よくRPGゲームとかでファストトラベルってあるだろ?あれは地点から地点への移動が可能な設定なんだが、同時に体力や魔力も回復できるようになってることが多い。だから、それを疑似的に再現しようと思ってる」
「んー。というと?」
「まず魔力量の消費が激しい欠点をこれで解決するつもりだ」
俺はキューブから取り出した薄紫の小瓶をテーブルの上に置いた
父さんはその小瓶を手に取り目を見開いて見始めた
「これは?」
「先日の竜神ダンジョンで手に入れたアイテム、魔法瓶だ。これは魔力を全回復するアイテムだ。キューブに転移魔法の術式を組み込み発動する。その際にキューブ内の魔法瓶と直結させることで魔力の回復を同時に行うつもりだ」
まぁ、そもそも転移魔法は座標転移しか出来ないから遠くへ行けば行くほど魔力量の消費が激しい。俺の全魔力量での移動はせいぜい15kmほどが限界だがな。
「出来そうなのか?」
「理論上は可能だ。だが、難点が1つ。魔法瓶はダンジョンで手に入れられるアイテムだから希少で入手困難ってところだな。そこで父さんに頼みがあるんだが」
「なんだい??」
「回復薬を量産している会社、ASASIの見学をさせてくれないか?父さんのコネなら出来るだろ?」
「できなくもないけど、急にどうして?」
「俺は魔法瓶を自身で量産できないかと思ってる。それで、魔法瓶と効果が似ている回復薬の作り方を学びたくてな」
「なるほどね。わかった!一応社長に連絡してみるよ」
GWで休みとはいえ家でダラダラして母さんには頭が上がらない父さんだが、一応、国直属の科学者なんだよな…。こういう時に父さんがいて助かるな
「千冬ちゃ〜ん!梨剥いたから食べない??」
「え!?いただきますっ!!」
平和だな…
こうして俺は回復薬の工場見学の予定をこじつけたのだった
投稿が遅れてすいません(_ _)
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