第28話 夏の校外学習模擬戦
俺達3人は研究室を出て台所に行き千冬の作ったカレーを食べていた
「そういえば、亜空の父親が働いていた会社って仁松魔工務店のことか?」
「えっ。そうだけど、なんでそのこと?」
「いや、倒産したとお兄さんから聞いたが、亜空が通っている学校は埼玉の名門青蘭女学院だろ?偏差値も学費もそれなりに高いと聞いたことがあるんでな。それで調べてみたらその会社が出てきたんだ。元々は飛行機や新幹線などのパーツを作っていた大手の会社で魔法時代に乗っかり魔法武具の製作にも乗り出そうとしていたらしいが…」
「そう。でも魔法時代になって産業革命が起きた。その革命に大成功した大手企業に買収されたのよ。それで社長であった父さんはクビになったの。その頃には私の入学も決まっていたから、入学金はなんとかなったけど、学費を払うのにお兄ちゃんが探求者になったの」
「そんなことが…。でも、なんで社長である亜空のお父さんがクビになるのかしら?」
「わからないの。父さんや上層部の人は全員クビにされたみたいよ」
少し引っかかるな。会社は有能な人材を残すものだ。それこそ、平社員よりも、顔が広く技術に特化している上層部を残すのが普通なんだがな…
「買収した会社は株式会社マナテクノロジーキングス。元々は3流の小会社だったが、ダンジョンが現れてから株が上がり、1流以上の大企業になった。…まぁ、それはそれとして。よければ亜空の父親にこの電話番号に電話するよう伝えてくれないか?」
俺は電話番号が書かれた電子メモを渡した
「…これは?」
「俺の親が働いている職場だ。俺の親は魔法武具の開発なんかをやってる。最近人手不足らしくてな。亜空の父親ほどの有能な人材をスカウトしないわけにはいかないだろ?俺の父親に話は通してあるから、面接の日程なんかを聞くといい」
「い、いいの?何から何まで本当に…本当に…」
亜空は両目から涙を流した
「フッ。まだ受かったわけじゃないだろ?俺のコネとはいえ絶対じゃないんだ。安心するのはまだ早いぞ?」
照れ隠しでそんなこと言ったが……。仁松くん…俺ができることはやった…。だから、安心してそっちで見ていてやってくれよ…
「フフフッ。2人とも!早く食べないと冷めちゃうよ!」
そして、夕飯を食べ終わり
俺はバイクで亜空を家まで送り届けた
「今日は本当にありがとうございます!!父さんがいたら直接お礼をと思ったんだけど、バイトでいないみたい。ごめんね」
俺としては過剰に礼を言われる気がするので居なくて安心したけどな
「いや、そんなこといいさ。むしろ俺の魔法武具に付き合ってくれてありがとな。じゃ、そろそろいくよ」
「あ、これ!私の番号!また、会いたい時に…」
亜空の電話番号が俺のケータイに送られてきた
「あ、ありがと。ちゃんと登録しておく。じゃ、またな!」
俺はバイクを走らせて、その場を去った
そして、帰り道にギルドに寄り、深緑ダンジョンで手に入れアイテムと使わなかったアイテムを換金し、40万円を手に入れて家に帰宅した
次の日学校に登校すると、丸一日体育という異例の事態となっていた
「猫頭、これはどうゆうことだ?」
「あ、夏君おはよ!なんか、クラス全員が探求者試験に合格したから、校外学習の班ごとに模擬戦するみたいだよ」
模擬戦?まぁ、たしかに探究者になりたてでダンジョンに行くよりはマシだが…
唐突すぎるな
壇上の前に先生が現れた
「みんなも聞いてると思うがこれから校外学習のグループごとに模擬戦を行う!魔法武具は学校専用の物を使用し、体に的をつけてもらう。この的は魔法を検知すると青から赤になる。するとこちらのモニターに表示されて、その者はアウトとなり戦闘離脱だ。ざっくり説明したが、ここまでで質問のある者ー?」
なるほどな…。理解はした
「先生。勝敗はグループ全員の戦闘離脱ですか?それともリーダーのみの戦闘離脱ですか?」
この質問の答えによっては立ち回り方はまるで変わってくる
「いい質問だな。グループの過半数。つまりは3人の脱落とリーダーの脱落が敗北条件だ。ただし、3人脱落してもリーダーさえ残っていれば試合は続行。それは最後の1人になっても同じだ」
またこれは…厳しい条件だな
「…わかりました」
「他には質問はないな?よし、それでは体育館Bに移動!そこで班ごとの作戦会議と魔法武具を選ぶといい。30分後にくじ引き、その30分後に模擬戦開始だ!全員服を着替えて移動!」
『はい!』
帝都シュレイト高校の体育館は4つに分かれている。その中でも体育館Bは戦闘訓練が主に行われていて、東京ドーム3個分ほどの広大な体育館だ。ちなみに、魔法によって地形が変えられるという特別性だ
俺達、校外学習6班は体育館Bにある控室に集まっていた
「さて、まずは魔法武具選びだな…。俺は銃を2丁もらうぞ。猫頭は?」
「俺は接近戦だからね。このグローブでいいかな!」
「私は幼少期から剣を習っていたから、剣をもらうわ」
「朝日さん剣を習っていたなんてすごいですね!私はこの杖で…。魔法くらいしか使えないので」
「じゃ、私も腕輪型の杖でいいわ!」
「あら、千冬にしては意外ね?もっとやんちゃなイメージだったわ」
「え?そうなの?いやだわー…」
まぁ、たしかに千冬は昔からやんちゃだ
戦闘になったら朝日さんもそれがよく分かるだろうな
「さて、魔法武具はこれくらいにして、各自のスキルを確認するぞ!猫頭は【猫化】、梵さんは【木枯らし】、朝日さんは?」
「【剣士】よ。剣の才が上がるだけね」
…剣の才が上がるだけ?俺からしてみれば相当レアスキルだ。どこまで上がるのか上がり幅がわからない以上、潜在能力はこの中じゃ群を抜いてるかもな…
「そうか。なら近接メインだな」
「そうなるわね。そういえば千冬のスキル聞いてないけど」
「私のスキルはね!【氷姫】よ」
「な、なにそのスキル!強そうじゃない!」
「氷を自在に操れるの!」
俺からしてみれば、千冬のスキルはバケモノだけどな
「こんなところか。後はくじ引きで対戦相手がわかってから作戦会議だな。全部で7班あるからな。シード権をもらいたいところだが」
「なんで?楽できるから?」
猫頭が質問してきた
「まぁ、それもあるが。クラス全員のスキルの確認や予想が立てられるだろ?なにも知らないまま戦うのと知っていて戦うのじゃ違うだろ?」
「まぁ、たしかに」
『各自リーダーはくじを引きにきてくれ』
先生の声がスピーカーで響いた
「じゃ、いってくる」
俺は控室中央に行き、くじ引きを行いに向かった
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