第27話 夏とキューブ
「……な…つ…。な…つ…。夏!起きて!夏!」
耳元で大きな声が聞こえてきた
俺は驚き咄嗟に起きた
「な、なんだ!!」
すると目の前に千冬の顔があった
「うわぁっ!わ、わるい!」
千冬は顔を赤くして言った
「いいわよ…。それよりも早くしなさい!初日から遅刻する気?」
俺は時計を見るとかなりギリギリなことに気づき、急いで準備を整えた
『いってきまーす』
2人で誰もいない家に言い残し、学校へと向かった
「そういえば、ダンジョンクリアしたんでしょ?お父さんから連絡あったわよ。おめでと!」
「あぁ。ありがと。十士道のアップデートもばっちりだから、今週中に千冬の魔装武具も整備するよ」
「やったー!さすが夏!ありがと!」
「まぁ、このくらい当たり前だがな」
「…?ねぇ、ダンジョンで何かあったの?」
「ん?なんでだ?」
「んーーー。なんかいつもと同じだけど、いつもと違うのよ」
「フフッ。なんだそれ。千冬には敵わんな。実はな…」
俺はダンジョンでの出来事を話した
「別に凹んでいるわけじゃないけど、なんとなく頭の隅に引っかかってな」
「ね!夏!少ししゃがんで?」
ん?まぁ、いいか。俺は少ししゃがんだ
「ほら」
すると千冬は俺の頭を胸に押し付けて、抱きしめた
「お、おい!」
俺はすぐに離れた
「さ!行こう!夏!」
千冬は俺の手を取り、学校まで駆け足で向かった
教室に入り、猫頭や梵さん達に挨拶をし、学校での1日が始まった
そしていつも通りの学校生活が終わり、千冬と帰りの支度を整え、昇降口にいると梵さんが向かってきた
「六条くん。仁松さんって方が校門のところで待ってますよ?」
仁松?なぜこの学校を知っている?
俺は千冬と2人で校門に向かうとそこには仁松くんの妹が待っていた
あの制服は埼玉にある青蘭女学院の制服だったよな
たしか、偏差値も結構高いと聞いたことあるな
「君はたしか…亜空ちゃん?だったよね?」
「はい。いきなり押しかけてごめんなさい。六条さんの名前を検索したらこの学校の首席入学者と出てきたので、来たの。実は六条さんが昨日渡した現金だけど…。4025万円。これはランクCのお兄ちゃんにしてはおかしい数字よね?お父さんとお母さんがそれに気づいて持ってきたの。きっとお兄ちゃんのお金は25万円なんじゃないかしら?…はい。これ。」
すると、亜空の右手から黒い異空間が発動してお金が出てきた
「!!!。ちょっとまった!それ!そのスキルもしかして異空間系のスキルか?」
「??。そうよ?私のスキルは【亜空間】私だけの空間から物を出し入れできるの。それよりも、この4000万円返すわ」
「…たしかにそのお金は俺が入れた。けど、そのお金はいらない。その代わりなんだけど今から俺の家に来てくれないか?」
「…えっ!?。い、いいけど…。彼女さんはそれでいいの?」
「私!?私は夏の幼馴染の一青 千冬よ。よろしくね!」
「あ、幼馴染なんだ。私は仁松 亜空。よろしく」
「お互い自己紹介が終わったことだし、行こうか!」
俺達は自宅に向けて歩き始めた
すると、千冬が俺の隣に寄ってきて小声で話しかけた
「ちょっと!どうゆうつもりよ。4000万円と引き換えでなんかやらしいことするつもりじゃないでしょうね?」
たしかに、長髪のツインテール、モデルみたいな体型だが…
「なわけないだろ!亜空ちゃんのスキルで試したいことがあるんだよ。なんだったら千冬もくるといい」
「ふぅーーん。まぁ、言われなくても行きますけどね!」
自宅に着き、2人を研究室に案内した
「す、すごいお家ね。豪華っていうよりも色々と規格外というか…」
「夏の両親は科学者なのよ」
「はぁ……」
「さて!亜空ちゃんをここに連れてきたのは理由があるんだ。突然で申し訳ないんだが、そのスキルを利用した魔装武具の開発に協力してくれないか?」
「…どうゆうこと?あんまり話が飲み込めないんだけど」
「まぁ、たしかにそうか。なんて説明したほうがいいか…。探求者はダンジョン攻略で手に入れたアイテムをバックに入れて持ち歩くのが基本なんだが、それだと手持ちのバックの容量に限界がきて効率が悪いんだよ。パーティーの中に収納持ちの探求者を仲間にして攻略するパーティーもいるんだが、そうなかなか収納持ちがいるわけじゃないからね。そこでだ、俺はこのキューブを開発したんだ!」
俺は研究室のガラスケースから十士道のデザインが施された手のひらサイズの立方体のキューブを取り出して、2人に見せた
「なにこれ。軽いわね!」
「なんとなく探求者のアイテム問題についてはわかったけど…。それと私になんの関係が?」
「あぁ。このキューブには永久的に魔力をループして供給するシステムが搭載されてる。つまりだ、収納系や異空間系のスキル魔法をこのキューブに流してもらえれば、いつでもどこでもそのスキルが使えるってわけだ!」
「なるほど。そこで私のスキルがほしいってことね」
「そうゆうことだ!さっきの4000万で俺の仕事の手伝いをしてくれないか?」
「いいよ。そんなことでいいなら力になるわ。」
「よしっ。じゃ、早速スキルを使ってキューブに魔力を流してくれ」
亜空はキューブを持ってスキルを使った
「消えない。なにこれ。すごいわ」
「魔力を吸収するように作ってあるからな。さて、少し見せてくれ」
俺はキューブを受け取った
「ふむ。んー。魔力量が足りないな。これだと普通のショルダーバックほどしか容量がない。魔力回路をもう少し大きくして作り替えてみるから少し待っててくれ」
俺が魔力回路を調整している中、千冬と亜空が話していた
「亜空ちゃん。お兄さんのことは夏から聞いたわ。お兄さん、残念だったわね…」
「兄さんは家族の反対を押し切って探求者になったの。探求者になってからの兄さんは明るくなり家族にまるで光が差したようだったわ。そんな兄さんを見て、父さんも仕事がなくても、得意の電気系のアルバイトを初めて、母さんも仕事を探すようになったの。だから兄さんは無駄死になんかじゃなく、私たちに色々と残してくれた。それだけで兄さんはすごい人だったわ。兄さんの元パーティーメンバーは憎いわ、けど、六条さんや一青さんの様な人たちもいることが知れて良かった。私ももっと探求者について知りたくなったわ」
「忠告だが、憎しみのために動くのだけはやめろよ。私情を挟んだ争いほど醜いものはないからな。それと、俺のことは呼び捨てで構わんぞ」
亜空に限ってそんなことはしないと思うが念は押しといた方が良い
「私も呼び捨てにして?私達もお友達でしょ?亜空!」
「わ、わかったわよ。夏、千冬」
「フフフッ!」
呼び捨てにしろと言ったが名前で呼ばれるとはな…。まぁ、いいか。
「よし、改良した。もう一度魔力を流してくれ」
亜空がスキルを使った
「はい。これでどお?」
俺はそれを受け取った
「んー。大きすぎたな…。これじゃキューブを開いた瞬間に色んなものを吸い込んでしまうな。まるでブラックホールだ。もう少し微調整する」
そして、キューブに魔力を流す作業が始まって3時間後…
「これでどうだ!」
亜空がキューブをもち魔力をながした
「………。成功だ!容量は無限大、魔力は安定。完璧だ!ありがとう!亜空!」
「いいのよ。こちらこそ楽しかったわ。ありがとね」
「フフ!よかったよかった。さぁ、ご飯作っておいたからみんなで食べましょ?」
「おい!また勝手に人の家の冷蔵庫を!!」
「いいのいいの。それよりも、そのキューブの名前どうするのよ?」
「ったく。名前はキューブでいいだろ。それに、この魔導武具は非公開にするからな」
「え!なんでよ!それ私もほしい!」
「あのな…。これが日本各地で製造可能になったら悪いこと考えるやつもいるだろ?それにそうゆうスキルを持った奴らが狙われる可能性もあるからな。だからこれは世界で一つだけだ!」
「ぶぅーーー。」
「フフフッ。本当に2人は仲がいいんですね」
すると亜空のお腹からグゥ〜と音が鳴った
「あっ。」
「ハハハッ!ほら!ご飯にしましょ!」
そう言って、俺達はキューブの研究を終えて、台所に向かった
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