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040 令嬢のお世話は大変だ

「ただいま……」


 姫乃と一緒に住むマンションへ帰ってくる。今日は本当に疲れる日だった。

 トタトタと足音を立てて姫乃がやってくる。


「おかえりさない。遅かったですね」

「ああ……」


 時刻はすでに21時をまわっていた。

 どうしてこうなったと言わんばかりだ.


「悪いと思ったんですけどご飯はすませちゃいました。燐くんの分は今から温めますね」

「あ、ごめん。もう鈴華と食べてきた」

「へぇー」


 見て分かるほど姫乃の表情が歪む。

 晩飯あるのに飲んで帰ってきた亭主のごとき。いや、姫乃と俺は別に結婚しているわけじゃないんだが。

 背中の汗が止まらない!


「名前も呼んでるんですね。随分と鈴華さんと仲良くなったものです」

「し、仕方ないだろ」


 もちろん鈴華のお世話係になったことは姫乃には伝えている。

 今は鈴華と敵対するのは良くないので納得してはもらったがやはり姫乃としては面白くないようだ。


「食べてくるならちゃんと連絡してください」

「本当にごめんなさい!」


 正直忙しすぎて連絡がする時間がなかったんだがこんな言い訳が通るはずもない。


「せっかくですし味噌汁くらい飲みますか? 夕食の残りは明日のお弁当にするので」

「ありがとう、そうする」


 姫乃が温めてくれた味噌汁で一服。今日あったことを話すことになった。


「あいつ想像以上に方向音痴でびっくりした。住んでいるところと逆方向歩き始めるんだから……家までついていくしか無かったんだよ」

「どのあたりに住んでるんですか」


 スマホを取り出して姫乃にマップで示す。

 この家と学校を挟んで 完全に反対側のタワーマンションだった。

 おかげで帰るのも一苦労だ。実家がどちらかというとそっちから近いのも大きい。姫乃と同居してることをバレるわけにはいかないんだよな。


「ゲーセンとかボーリングとかいろんな遊ぶ店に付き合わされてよ」

「ふーん。私と行く前に遊んだんですね」

「今度行こう! 姫乃と一緒の方が楽しいから」


 機嫌が悪くなる姫乃を何とか宥める。

 なんで恋人のご機嫌どりみたいなことをしてるんだよ。

 くっそ……これも全部鈴華がいろんなところに興味を示すから!


「でもあいつ……外で遊んでない感じだったな」

「天ノ川女学院は厳しいって話ですからね。それに鈴華さんは片桐家の正統な令嬢。大事に育てられていましたから外にはあまり出ていなかったんですよ」

「お嬢様ってそういうものなのか」

「だから今になってこの学園に転校してきたのが不思議でならないんです。家で何かあったんでしょうね。私の知らぬ所で」

「ほんと何があったんだろうな」


 今日一日、鈴華に付き合っていたがなんだか抑圧から解放されたような清々しい所があった。見るもの全てが新しいという感じだ。

 ただ当然心の内を話してくれるわけもなくその理由は分からなかった。ただ一緒に遊んでそれで終わりだ。


「燐くんが彼女とずっと一緒にいるせいで……寂しいです」

「姫乃」

「あの発言のせいでクラスメイト達も距離を置いてるようです。分かっていたこととはいえ……やはり辛いですね」

「俺が絶対姫乃から離れたりしない。それは信じてくれ」


 姫乃はにこりと微笑んだ。


「大丈夫ですよ。燐くんのことは信じています。……だから明日は一緒に晩御飯を食べましょうね」

「ああ、絶対だ!」


絶対にだ!


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