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【書籍化】身内の世話に疲れた俺が選んだのは学園のお姫様と家族になることでした  作者: 鉄人じゅす
1章

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027 夜の時間

 時間はいつしか夜になり始めていた。

 あの強情で自分が自分がと言ってばかりの夜華は座って俯いたままだ。

 姫乃の言葉が身にしみたのかそれとも……。


「夜華さんは今日、泊めてあげてください」

「ありがとう。本当にごめん」

「私もちょっと言い過ぎましたしね」


 そんなことはないと言ってしまうのも良くはないだろうか。

 姫乃は少し後悔している感じにも見えた。言い過ぎるというより感情が昂ぶったことに対するものなのかもしれない。

 姫乃がちらりと夜華に視線を向ける。


「下着は私のでもいいと思いますが、一部は厳しいかもしれませんね」

「……」


 それは身長差か胸部か、どっちの話だろうか。


「俺の服を使っていいよ。大は小を兼ねるだろ」

「燐くんの服。それは良いですね、着てみたい」

「別のこと考えてない?」


 話の筋が明後日の方にいってしまった気がする。

 姫乃はポンとタオルを渡してきた。


「お湯が沸きましたので先にお風呂へ入ってください。私は後で入りますので」

「ああ、分かった。先に頂くよ」


 言われるがまま風呂の方へと向かう。

 服を脱いで洗濯籠に入れて、浴室へと入った。


 夜華のやつ、落ち込んでたな。

 明日はオフと言っていた。明後日は恐らく仕事だろう。この時期だとあの仕事だろうから新幹線に乗って移動するかもな。

 夜は俺がメシを作ってやろう。俺の飯が食べたいと言ってたし。いつもの調子を取り戻させないとな。それは兄の役目と言える。

 体を速やかに洗って、頭を洗おうとしたその時だった。

 がらりと浴槽の扉が開けられて、冷気がわずかに入り込んで気づく。


 振り向いたら……なぜか水着に身を包んだ夜華の姿があった。


「夜華!? 何をしてるんだ」

「その……何ていうか。背中を流してあげる」

「えぇ」

「何よその顔。人気ナンバーワンのアイドルのヨルカが奉仕してあげるんだから! ファンなら落涙ものよ」


 でも所詮は妹だしなぁ。

 しかし相変わらずスタイルが良い。顔は抜群に整っており、手足は細くて長い。世界一可愛いのは変わらない。

 最近はモデル業にも手を出しており、女子人気もかなり高まってるとか。

 もし俺が芸能人であるヨルカの兄と知られたら男女共々めちゃくちゃ人の注目を集めることになるんだろう。

 ま、言う気はない。面倒くさいことにしかならんし。


「何で水着なんだよ。持ってきてたのか」

「……お兄ちゃんと遊びたかったから。悩殺できるかなって思って」


 本当は夜華なりに考えてやって来たのかもしれない。しかし水着はいったい誰の案なのやら。


「ところでどんな風の吹き回しだよ」

「……あの子の言うとおりだったから」


「え」

「お兄ちゃんって昔は結構我が強かったじゃん。御幸お兄ちゃんやヨルカや朝くんに負けず劣らず」


 自分の過去を思い出す。

 小学校に入って少しくらいまでは結構ワイワイやってた気がする。

 いたずら好きの双子の妹弟にもわりと高圧的だったっけ。


「でもヨルカがアイドル活動して、朝くんにフィギュアの才能があるって分かってからずっと裏方ばかりだったよね」


 そうだな。ずっとそんな感じだったな。

 両親の手助けができるように自分のやりたいことを捨てて介護や兄弟みんなのサポートにまわることになった。


「思えばお兄ちゃんの中学時代のこと全然知らなかったなって。いつのまにか話を聞いてもらうことが当たり前になってた」

「ヨルカたちもストレス溜まってるのが分かってたからな。兄貴は我が強すぎるからストレスのはけ口としては無理だし、俺が受けてやるしかなかったんだ」

「でもそれでお兄ちゃんのストレスが限界になったんだね」


 本当に少しずつ、少しずつ……溜まっていって祖母ちゃんの葬式で爆発したように思える。

 正直一番許せなかったのは両親なんだ。夜華と朝也はなるべく助けてやりたいとおもってる。

 ぴたりとヨルカが後ろから抱きついてきた。


「お兄ちゃん、いつもありがとう。ヨルカ……もう帰ってきてって言わないから。ヨルカ、頑張るから」

「……」

「お兄ちゃんの今を聞かせて。この1ヶ月のこと……。今までのお兄ちゃんを教えて欲しいの」

「ああ、分かった」


 そうして俺は特にこの1ヶ月にあったことを話すことにした。俺を変えてくれた一人の女の子の話だ。


「姫乃と会ってから全て変わったんだ」


 俺の生活に色がついたような気がする。

 姫乃とこの家で暮らしてからは大変だけど、楽しいことばかりなんだ。

 友人も増えたし、お互いの求めるものを埋め合える関係になった。


 多分嬉しそうに話してしまったんだろう。夜華が少し締めてくるように抱きつく。


「あの人のこと好きなの?」


 それは恋愛的にも家族的のどちらの意味でもだろう。

 学校の姫はやっぱり可愛らしいし、近づいてくるだけでドキっとしてしまう。この前触れ合ってから姫乃に対していろんな感情芽生えたような気がする。そういう意味で恋愛的に興味があるのは間違いない。

 ただやっぱり家族的な意味で姫乃と一緒にいる方が落ちつくんだよな。でもまだ手放しで家族的に好きとは言えないかもしれない。


「顔だったらヨルカだって負けてないし!」

「何を張り合ってんだよ」


 大人気アイドルが嫉妬するほどの美貌ってことかな、ウチの姫は。

 さすがに姫乃は大人だから相手にしないだろうし、夜華もいつもの状態に戻ったからこれで解決と言えるだろう。

 これで明日、夜華を家に帰せばミッションコンプリートのはず。


 だった。

 ガラリと浴室の扉が空くまでは。


「新妹の私が燐くんのお背中を流しに来ましたぁ」

「何で君まで張り合って来てんの!?」


 スクール水着に身を包んだ姫乃が浴室に入ってきたのだ。

お姫様もちょっと歪んでるから美しい。


「美少女達とお風呂タイム」「続きが見たい」って思って頂けるならブックマークと下側の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」の評価を頂けますと楽しいイチャイチャが見れるかもしれないので良ければ応援して頂けると嬉しいです。

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『身内の世話に疲れた俺が選んだのは学園のお姫様と家族になることでした』

2026年2月20日 発売です!

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