自習中の
遅くなった上に短くてごめんなさい。
なるべく期間が開かないように頑張りたいですね……
追記:誤字報告や感想ありがとうございました!
パチリと開いた目と意識。どうやら起きたらしいという事を考えながら、重くなった体を起こす。
養護教諭も気づいたのかカーテン越しに声をかけてきた。
「調子はどう?」
「少し……いえ、良くなりました。ありがとうございました、先生」
「それは良かった。今日は寄り道せずにまっすぐ帰ってくださいね。6限目の授業は自習だったそうだから、課題はあるかもしれませんけど」
「そうします」
保健室にほぼ1日いた生徒なんて僕くらいじゃないだろうか。気がつけば6限目の授業が終わりそうな時間になっている。
先生に言われるまでもなく、寄り道なんてする気もない。ベッドから抜け出してペコリと一礼し教室に戻ろうとすると、呼び止められた。
「待ちなさい。さきほど授業担当の先生がカバンを持ってこちらを訪ねてきましたよ。渡しておきます。荷物はこれだけでしたか?」
「わざわざ持ってきてくれたんですね……はい、これだけです。6限目はたしか……」
「八宮先生ですよ」
「やっぱり。ありがとうございます。後でお礼言わなきゃ」
八宮先生にはお世話になりっぱなしだなあ……主にコーヒーを貰った思い出ばかりだけど。なんだかんだ気にかけてくれているのは、なんとなくわかる。
「そういえば、何度も携帯のバイブレーションが鳴っていたから、メッセージがたくさん来ているかもしれませんね。……先生としてはマナーモードより、学校に来ている間くらいはサイレントにして欲しいものですけど」
「ごめんなさい」
どうやら通知が騒がしかったらしい。先生に断って見てみると、電話とメッセージがそこそこに入っている。
携帯、スマホに関しては別に所持を制限されているわけではない。珍しいとか言われるけど、緊急の連絡が入ったりする事もあるから、授業中に遊びで使わないなら目を瞑ってくれるらしい。
サイレントマナーにして意味があるかと言われると、首を傾げるところではあるけれど。
そもそも授業中に何やってんのよ、キミら。自習とはいえ、しっかり勉強しないと知らないよ。
なんて、色々と思うところはあるけど、それを養護教諭に伝えても意味はないので飲み込んでおく。
「ところで先生」
「なんでしょう?」
帰ろうと扉に手をかけたところで、先生に声をかける。
振り向いてこれだけは言っておかなきゃと口を開いた。
「明日から少しの間ですが、お世話になります」
きょとんとして、何かに思い至り『ああ』と呟く先生。西園寺先輩から聞いてたはずなんだけどな……?
いや、まあ……分かりづらい言い方だったか。
「ええ。あなたの調子が戻っていればお願いしますね。無茶はダメですから、どうしてもの時は委員長やもう一人の保健委員を頼ってくださいね?保健委員さん」
ニコリと笑って返してくれる先生に少しだけドキッとしたけど、こちらもペコリとお辞儀して退室した。
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時間を遡り、中山奏が眠っている時のメッセージグループ
グループ名:梅雨かったるい
メンバー:【新谷萌(以降:萌)】【上村かおり(以降:かおり)】【渡貫春美(以降:春美)】【上白沢李衣里(以降:李衣里)】【赤羽陸(以降:陸)】【中山奏】
かおり『なかやんさ、なんだか様子おかしくなかった?』
春美『そうかしら』
『というか、あなた達の既読ついてるけれど』
『自習とはいえ、授業中よ』
陸『春美も人のことは言えないだろ』
『ともかく、中山は調子が悪そうだったな!』
李衣里『顔色が悪かった』
『そのなかやんと見つめ合ってた萌も様子がおかしい』
萌『えっ』
『そうかな?』
『いつも通りゲンキげんき!だよ!』
『(ムフーという言葉と可愛らしいアニメ調のいぬのスタンプ)』
李衣里『…………』
『本当?』
萌『ホントだよっ!』
『何か心配させちゃったかな?』
李衣里『そこまで言うなら、信じる』
『嘘ついてたら』
『(指を差すアニメキャラのスタンプ)』
『おはぎにタバスコたっぷりかけておみまいするから』
萌『ええっ!?』
李衣里『ついでにかおりにも』
『タバスコと青唐辛子入りおはぎをおみまいしてあげる』
『感謝するといい』
かおり『いやいやいや』
『(驚愕しているペンギンのスタンプ)』
李衣里『連帯責任』
春美『何のよ……』
李衣里『萌とかおりは仲良し』
『だから』
春美『なんの理由にもなってないわね』
かおり『怖くておはぎしばらく食べられないじゃん!』
『絶対に嫌だかんね!!』
陸『じゃあ、りぃが嘘ついたら俺も連帯責任で罰ゲームだな!』
春美『なんで嬉しそうなのよ、あなたは』
萌『まるで私が嘘ついてるかのようなメッセージ!?』
李衣里『りくが?』
『はっ…鏡を見てから言って』
萌『ちょっと傷ついたかも』
陸『鼻で笑われた気がする!』
『だがりぃと俺が仲良しなのは違いないからいい!』
春美『その前向きさは尊敬するけど、少しは怒ってもいいと思うわよ、陸』
陸『りぃに、俺が?』
『???』
春美『もういいわ…』
萌『ねえ。私、無視されてない?』
『(怒った顔の犬のスタンプ)』
陸『気のせいだな!』
春美『なんて返せばいいか分からないもの』
『泣かせてしまったなら、ごめんなさい』
李衣里『萌』
『ごめん』
『(しょんぼり顔のアニメキャラのスタンプ)』
かおり『もえぴーを無視するわけないじゃん!』
『寂しくさせたなら今すぐ抱きつきに行く!!』
萌『泣いてないし、待ってかおり』
『みんなたすけ』
陸『流石だな。ギュッて抱き締められて授業中で声も上げられないからグループにメッセージ送ってきてる』
『あのままだとスマホ落とすけどいいのか?』
李衣里『やっぱり二人は仲良し』
『危ないからスマホ』
『回収した』
春美『クラスのみんなに奇異な目を向けられてる新谷さんには同情するわ』
『それと上白沢さん。助けてあげれば良かったのに』
李衣里『仲良しなのは良い事』
『それより、春美』
春美『なにかしら』
李衣里『なかやん、そのまま帰るみたい』
春美『そうね』
『今、八宮先生が彼のカバンを持って行ったわ』
『ついでに新谷さんと上村さん』
『呆れられてたわね』
陸『萌は「私は悪くないのに」って言ってたな』
李衣里『その通りだと、思う』
『話、変わるけど』
『かなやん、萌やみんなを見て怯えてたの』
『気づいた?』
春美『そうね…』
『顔色が悪いのはわかったけれど』
『そこまでは分からないわ』
『それより、呼び方を毎回変えられると誰のことかわからなくなるからやめなさい』
李衣里『やだ。なかやんもかなやんも呼びたい』
陸『みんなというよりは、どこか別の場所を見ていた気はするけどなー』
春美『…………』
『あなた達はよく見ているのね』
李衣里『春美のこともよく見てる』
『大切な友達だから』
『あ、いま照れた』
春美『そろそろ自習の課題をしないと怒られるわよ』
『私は先にするから』
李衣里『照れなくて良いのに』
『既読、減った』
陸『りぃと二人きりだな!』
李衣里『変な事言わないでいい』
陸『ところでりぃ』
李衣里『なに?』
陸『後で個人メッセージで話す』
李衣里『ん』
陸『それと、後で中山がこのメッセージを見ると思うから残しておくが!』
『辛いことがあったら俺たちに話してくれ!』
『個人的にもメッセージを送るし、会った時にも話すけど!』
『1人で抱えるな!どんな事でも笑わないから!』
『疑ってると思うが、これでもみんな中山とは仲良くなりたいと思ってるからな!』
李衣里『急に煩い』
『でも、陸の言う事は本当だから』
『なかやん、よろしく』
陸『まあ?りぃと1番仲良しなのは俺だけどな!』
李衣里『はっ』
陸『また鼻で笑われた気がする!』
深夜
「……」
電気も消えた部屋。カーテンで窓も閉じられて、その隙間から月の光が漏れている事を除けば闇にとざされてしまっている。
そんな部屋の隅でベッドでも布団でもなく、フローリングの上で毛布を頭から被り、スマホのスリープを解除する。
「……お人好しめ」
小さく漏れた声に顔が歪み、鼻の奥がツンとする感覚をスマホを持った手を抓ることで必死に抑える。
「どうしてそんな、僕なんかに……」
漏れた声に対する答えは返ってこない




