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■第96話(別ルート):最悪の呪術・犬神! ……えっ、呪い殺す前に「危険な絶食」と「重度の歯周病」の説教ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……ゴリッ、ゴリッ。うむ、かっさプレートで首筋を流すと、確かに顔周りがスッキリするな」


神ドラマスは、純天然石のかっさプレートでゴリゴリとリンパを流しながら、ツヤツヤの顔でモニターを見下ろしていた。

画面の中では、王都の裏路地で、邪悪なオーラを放つ「闇の呪術師」がヒナタたちの前に立ちはだかっていた。


「ほう。あれはただの妖怪ではない。人間の悪意が生み出した最悪の呪い……犬神いぬがみ使いだ!」


ドラマスは、かっさプレートを置いて身を乗り出した。


「犬を首まで土に埋めて極限まで飢えさせ、食べ物に執着させた瞬間に首を落とす……その凄まじい『飢餓の怨念』を利用する外法の極み! 腹を空かせた獣の執念という本能的な恐怖の前に、ヒナタのオカン的説教はどう響くというのだ!?」


【場所:人間界・王都の裏路地】

「ククク……。勇者よ、我が最強の呪いを味わうがいい!」


呪術師が印を結び、足元の壺の蓋を開けた。


グルルルルル……!!

壺の中から、ドス黒い怨念のオーラと共に、血まみれの首輪をつけた「犬の怨霊」が実体化して飛び出してきた。

極限の飢えにより目は血走り、唾液を撒き散らしながら、鋭い牙を剥き出しにして唸り声を上げている。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 怨念の塊、犬神ですぞォォッ!!」


セバスチャンが悲鳴を上げ、壁際に張り付く。


『ガウゥゥゥッ!! 腹ガ減ッタ……! 喰ワセロ……オ前タチノ肉ヲ喰イ殺シテヤル……!』


犬神が、鋭い牙を剥いてヒナタの喉元へ飛びかかろうとした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、呪いのオーラを物理的に粉砕する「栄養管理士&歯科衛生士ブチギレ・トーン」が裏路地に響き渡った。


『……キャン?』


犬神は、空中でビクッと怯み、そのままヒナタの足元にポスッと着地してしまった。


ヒナタは、四次元リュックをドンッと置き、呪術師の胸ぐらをガシッと掴み上げた。


「あなた!! 犬を土に埋めて何日も飢えさせるなんて!! 専門家の指導もないまま極端な『絶食ファスティング』を強要するなんて、ただの虐待です!! この子は今、極度の『低血糖状態』に陥って、脳に栄養がいかないせいでパニックと異常な攻撃性(※ハングリーアングリー状態)を起こしているだけじゃないですか!!」

「て、低血糖……!? いや、これは呪術の儀式で怨念を……」

「言い訳しない!!」


ヒナタは呪術師をゴズの方へ放り投げると、今度は足元で唸っている犬神の「剥き出しの牙」をビシッと指差した。


「大体、その口内環境!! 牙を剥き出しにしているから丸見えですよ!! 歯茎が赤く腫れ上がり、根元には黄色い『歯石』がビッシリ溜まってるじゃないですか!! 完全なる『重度の歯周病ペリオ』です!! 歯周病菌が血管に入り込んだら、心臓や腎臓の深刻な病気を引き起こしますよ!!」

『し、歯周病……!?』


犬神は、生まれて初めて呪いではなく「オーラルケアの心配」をされ、思わずポカンと口を閉じた。


「それに、飢餓状態の胃袋にいきなり生肉なんか食べさせたら、胃腸がショックを起こして『リフィーディング症候群(栄養再開症候群)』で命を落とします!! 呪う前にこの子が死んじゃうでしょ!!」

「ゴズさん、その悪質な飼い主(呪術師)を衛兵に突き出して! ヴァレリアさん、お湯を沸かして!!」

「ブモォッ!(おうよ! 動物の健康管理もできねぇヤツは俺が絶対に許さねぇ!!)」

『ナ、何ヲ……!? 俺様ハ呪イノ……』

「【究極の低血糖回復&オーラルケア・フルコース】です!!」


ヒナタは、四次元リュックから、「消化器サポート用の超高栄養・流動食(犬用)」「獣医師推奨の酵素配合・犬用歯磨きペースト」、そして「極細毛の指サック型歯ブラシ」を取り出した。


「はい、まずは下がった血糖値を安全に、ゆっくり戻しますよ! 胃に優しいペーストだから、舐めるように食べて!」


ヒナタが、人肌に温めた甘い香りの流動食を差し出すと、犬神は呪いも忘れて無我夢中で、しかしペチャペチャと優しく舐め取り始めた。


『クゥゥ……。温かくて甘いスープが、空っぽの胃袋に優しく染み渡るワン……。なんだか、イライラしていた気持ち(低血糖による攻撃性)が、スゥーッと落ち着いてきたワン……』

「よし、血糖値が安定しましたね! 次は歯磨きです! 歯周病菌を徹底的に駆除しますよ!」


ヒナタは、指サック型歯ブラシに酵素ペーストをたっぷりつけ、犬神の口を優しく開いた。

そして、オカン特有の容赦ない、しかし絶妙な力加減で、溜まりに溜まった歯石とプラーク(歯垢)をシュッシュッと磨き落とし始めた。


『アウゥ……! 最初はチクチクしたけど、酵素の力で口の中のネバネバ(菌)が一掃されて、めちゃくちゃ息が爽やかになっていくワン!!』


数十分後。

そこには、人を呪い殺す狂気の犬神の姿はなかった。


極度の飢餓(低血糖)から回復して心安らかな表情を浮かべ、ヒナタのブラッシングによって「真珠のように白く輝く健康的な歯」と「無臭の爽やかな息」を手に入れた、ピカピカのワンちゃんが、満面の笑顔で尻尾を振っていた。


「……ゆ、勇者殿。最悪の呪術の産物が……『低血糖を克服し、完璧なオーラルケアを施された、王都一息のきれいなワンちゃん』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、すっかり大人しくなった犬神が「ニカッ」と笑って白い歯を輝かせているのを見て、自分も念入りに歯を磨こうと心に誓っていた。


『ワンッ!! ヒナタ先生、ありがとう! 俺、もう人なんか呪わない! この輝く白い歯を活かして、王都の「小児歯科クリニックの看板犬(歯磨き指導係)」になるワン!!』


犬神は、自慢の白い歯をキラリと光らせ、爽やかな息を吐きながら新しい就職先へと走っていくのだった。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、かっさプレートを静かに置いた。


『犬神が……「危険な絶食による低血糖」と「重度の歯周病」を指摘され、流動食を舐めさせられた……』

『挙句の果てに、指サック歯ブラシで歯石を除去され、小児歯科の看板犬になった……』


ドラマスは、深く、長く息を吐き出すと、もはや「飢餓の怨念」すら「血糖値の乱れと歯周病」として論破し、オーラルケアの圧倒的な知識で解決してしまったヒナタに完全降伏し、自らの健康寿命を延ばすため、通販サイトで「音波振動・電動歯ブラシ」と「デンタルフロス」をポチり、洗面所へと向かうのだった。

(第96話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


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