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■第95話:顔のない妖怪・のっぺらぼう! ……えっ、驚かす前に「重度のむくみ」と「リンパマッサージ」ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……ふむ。イヤーマフは耳が温かくて良いが、声が少し聞き取りにくいな」


神ドラマスは、芳一のエピソードで学んだイヤーマフを頭に装着し、すっかり防寒対策バッチリの姿でモニターを見下ろしていた。

画面の中では、夜の王都を歩くヒナタたちが、湯気を立てている屋台(蕎麦屋)に立ち寄ろうとしているところだった。


「おお、夜泣き蕎麦の屋台か。……待てよ、あの屋台の店主、背中を向けているが妖気が漂っているぞ!」


ドラマスは、イヤーマフを外して身を乗り出した。


「間違いない。振り返って顔のないツルツルの素顔を見せつける妖怪、のっぺらぼうだ! 目も鼻も口もないということは、食事を摂らせることも、健康状態を視診することも不可能! ヒナタの生活指導も、物理的に入り込む隙がないはずだ!!」


【場所:人間界・夜の王都の屋台】

「すいませーん、温かいお蕎麦を……ん?」


ヒナタが屋台の暖簾のれんをくぐると、店主が後ろを向いたまま、顔を両手で覆ってシクシクと泣いていた。


「どうしたんですか? 何か悲しいことでも……」

『……悲しいことなんて、何もないんですよぉぉぉ……!!』


店主が、バッ!と両手をどけて振り返った。

その顔には、目も、鼻も、口も、眉毛すら存在しない。まるでゆで卵のようにツルンとした、不気味な「のっぺらぼう」だったのだ。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! か、顔がありませんぞォォッ!!」


セバスチャンが腰を抜かし、ゴズの背中にしがみつく。


『ヒヒヒ……。驚いたか人間……。俺のこの、何もないツルツルの顔を見て……』


のっぺらぼうが、不気味に笑おうと(口はないが)顔の筋肉を動かした、その瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、深夜の屋台に響き渡る「凄腕エステティシャン(ガチギレ・トーン)」が炸裂した。


『……エッ?』


のっぺらぼうは、ツルツルの顔のまま首を傾げた。

ヒナタは、四次元リュックを屋台の台にドンッと置き、のっぺらぼうの「ツルツルに張った顔面」をビシッと指差した。


「あなた!! その顔は妖怪だからじゃない!! 首元のリンパが完全に詰まりきって、老廃物と水分が顔面にパンパンに溜まりきった『重度のむくみ(浮腫)』です!! 目鼻立ちが、ドロドロの老廃物の下に完全に埋もれちゃってるじゃないですか!!」

『む、むくみ……!? いや、俺は生まれつき顔が……』

「大体、目も鼻も口もないなんて!!」


ヒナタは、のっぺらぼうの首根っこをガシッと掴んだ。


「鼻呼吸も口呼吸もできないということは、『血中酸素濃度』が低下してチアノーゼになる寸前ですよ!! 口がないから栄養も摂れないし、顔の毛穴まで塞がって皮膚呼吸すらできていない!! このままじゃ窒息して突然死します!! 今すぐ【顔面発掘作業】を開始します!!」

『ガ、顔面発掘……!? 酸欠……!?』


のっぺらぼうは、自分が息苦しかったのは妖怪だからではなく、ただの極度のむくみと呼吸困難だったことに気づき、ツルツルの顔面を青ざめさせた。


「ゴズさん、店主を仰向けに寝かせて! ヴァレリアさん、蒸しタオルをたくさん作って!!」

「ブモォッ!(おう! 息ができるように早くしてやれ!)」


ヒナタは、四次元リュックから、「最高級のオーガニック・マッサージクリーム」「純天然石ローズクォーツのかっさプレート」、そして「プロ仕様の美顔ローラー」を取り出した。


『ナ、何ヲスル気ダ……! 俺ノ自慢ノ、何モナイ顔ガ……!』

「【究極のリンパ・ドレナージュ&小顔発掘プログラム】です!!」


ヒナタは、のっぺらぼうの顔に熱々の蒸しタオルを乗せて血行を良くすると、たっぷりのマッサージクリームを塗りたくった。

そして、親指と「かっさプレート」を使い、首筋の胸鎖乳突筋から鎖骨のリンパ節に向けて、ゴリッ、ゴリッ、と容赦なく老廃物を流し始めた。


『ンギィィィッ!! い、痛い痛い痛い!! 首の横がめちゃくちゃ痛い!!』

「痛いのはそこが詰まっている証拠です! 我慢して!!」


ヒナタの凄まじいゴッドハンド(エステティシャンの手技)によって、顔面に溜まっていた余分な水分と老廃物が、下水道の詰まりが取れたように一気に流れ出していく。


スゥゥゥ……。

すると、パンパンに張っていた「のっぺらぼう」の顔の肉が急速に引いていき、埋もれていた『鼻筋』がスッと現れた。続いて『唇』が姿を見せ、最後にパッチリとした『二重まぶた』が発掘された。


数十分後。

そこには、顔のない不気味な妖怪の姿はなかった。


重度のむくみが完全に解消され、スッキリとしたフェイスラインと高い鼻、そしてキラキラと輝く瞳を持った「超絶小顔のスーパーイケメン」が、信じられないほど大量の酸素を口から吸い込みながらハァハァと息をしていた。


『ぷはぁぁぁッ!! い、息ができる!! 視界がクリアだ!! なんだこの体の軽さは……! 今まで顔の肉が重すぎて、慢性的な肩こりだったのが嘘みたいだ!!』


元・のっぺらぼうは、自分の顔を鏡で見つめ、そのあまりの造形美に涙を流して感動した。


「ほら、やっぱり! リンパを流せば、本来の素晴らしい目鼻立ちがちゃんと出てくるんです! これからは塩分の摂りすぎに気をつけて、毎晩自分でマッサージしてくださいね!」


ヒナタが、かっさプレートをプレゼントして笑顔を見せる。


『ありがとう、ヒナタ先生!! 俺、もう人を驚かすのはやめるよ! この超絶小顔を活かして、王都の「メンズ・エステティシャン兼モデル」として、みんなのむくみを取ってあげるんだ!!』


元・のっぺらぼうは、キラキラと輝くイケメンスマイルを振り撒きながら、夜泣き蕎麦の屋台を引いて、意気揚々と美容業界への転職を決意するのだった。


「……ゆ、勇者殿。顔のない不気味な妖怪が……『リンパマッサージでむくみを取られ、発掘された超絶小顔のイケメンモデル』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、自分のたるんできた顎のラインを触りながら、「私も後でマッサージをお願いしよう」と心に誓っていた。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、無言で自分の顔を両手で包み込んだ。


『のっぺらぼうが……「重度のむくみ」と診断され、かっさプレートで顔面を発掘された……』

『挙句の果てに、呼吸困難から解放されて超絶イケメンエステティシャンになった……』


ドラマスは、自分のフェイスラインが最近少しもたついていることに危機感を覚え、通販サイトで「純天然石・かっさプレート」と「小顔ローラー(マイクロカレント機能付き)」をポチり、自らの神々しいフェイスラインを取り戻すべく、鏡の前でゴリゴリと首筋のリンパを流し始めるのだった。

(第95話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様からの応援トラフィックが、毎日の更新の最大のエネルギーになっています!


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