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■第83話:氷雪の美女・雪女! ……えっ、凍らせる前に「極度の冷え性改善」と「温活」ですか?

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


【場所:天界・管理室】

「……モグモグ。うむ、さすが最高級どら焼き。小豆の甘さが五臓六腑に染み渡る……」


神ドラマスは、買ってきたばかりのどら焼きとお茶を堪能し、すっかり寛いだ気分でモニターを見つめていた。

すると、画面の中の王都の気候が、突如として異常な変化を見せ始めた。


「なっ……真夏だというのに、王都に猛吹雪が吹き荒れているだと!?」


ドラマスは、どら焼きを置いて身を乗り出した。


「間違いない。あの透き通るような白い肌、冷気を纏った薄手の白着物……妖怪・雪女だ! 物理や衛生の理屈が通じない、絶対零度の冷気攻撃! ヒナタよ、いくら家事ができても、この異常気象と凍結の恐怖には手も足も出まい!!」


【場所:人間界・王都の広場】

ヒュォォォォォォッ……!!

つい先程まで暖かかった王都の広場が、突如として猛吹雪に包まれた。

噴水の水は一瞬で凍りつき、石畳には霜が降りている。


『フフフ……。愚かな人間ども……。私の冷たい息で、美しき氷の彫像にしてあげましょう……』


吹雪の中から、ふわりと宙に浮くようにして現れたのは、息を呑むほど美しい女性だった。

透き通るような真っ白な肌、青白い唇、そして雪のように白い着物を一枚だけ羽織った氷の妖怪――雪女である。


「ひぃぃぃッ!! で、出たァァッ!! 今度は雪女ですぞ!!」


セバスチャンが、寒さと恐怖でガタガタと震えながら叫ぶ。


『さあ、永遠の冷たい眠りにつきなさい……』


雪女が、青白い唇から「絶対零度の吹雪」をヒナタに向けて吹きかけようと、大きく息を吸い込んだ。

その、瞬間。


「ちょっと待って!!!」


ヒナタの、猛吹雪の音すら切り裂く「オカンのガチ説教(防寒指導編)」が炸裂した。


『……えっ?』


雪女は、息を吸い込んだままポカンと固まった。

ヒナタは、猛吹雪の中で一切怯むことなく雪女の目の前までズンズンと歩み寄り、その薄手の白い着物をビシッと指差した。


「あなた!! こんな猛吹雪の中で、綿の着物一枚ノーインナーなんて正気の沙汰ですか!? 首元も手首も足首も全開じゃないですか!!『3つの首』を冷やすのは万病の元ですよ!!」

『さ、3つの首……? いや、私は雪女だから、寒さこそが私の力で……』

「大体、その肌の色!!」


ヒナタは、雪女の「透き通るような白い肌」と「青白い唇」に顔を近づけた。


「『雪のように白い肌』じゃありません! これは毛細血管が収縮しきって血流が滞っている、重度の『血行不良』と『チアノーゼ(酸欠状態)』です!! 深部体温が下がりすぎて、免疫力が完全に崩壊してますよ!!」

『チ、チアノーゼ……!? 免疫力崩壊……!?』


雪女は、ヒナタのあまりにも医学的(?)な指摘に、思わず自分の青白い手を見つめた。


「女の子が体を冷やしちゃ絶対ダメです!! 今すぐ徹底的な『温活おんかつ』を開始します!!」


ヒナタは、四次元リュックから、オカンの冬の最終兵器である「超極暖・吸湿発熱インナー(上下)」「もこもこの裏起毛極厚ソックス」「着る毛布」「使い捨てカイロ(貼るタイプ)」、そして「特大の土鍋」を取り出した。


「ゴズさん、風避けのテントを張って! ヴァレリアさん、土鍋の下に火を起こしてください!」

「ブモォッ!(おう! すぐにぬくぬくの空間を作ってやるぜ!)」

『な、何をする気……!? 私を温めたら、雪女としてのアイデンティティが……』

「【アルティメット・温活・ぽかぽかセット】!!」


ヒナタは、抵抗する雪女に「超極暖インナー上下」を強制的に着せ、足元には「極厚もこもこソックス」を履かせ、さらに背中とお腹のツボ(命門と丹田)に「貼るカイロ」をピタッ、ピタッと貼り付けた。

仕上げに、全身をすっぽりと包み込む「着る毛布」を被せる。


『あ、あつっ……! な、なんだこの、体温を逃さず自家発電するような恐ろしい布地(吸湿発熱素材)は……! 貼られた熱源カイロから、体の芯に直接熱が送り込まれてくる……!』

「はい、さらに体の内側から温めますよ! 特製『生姜と根菜のピリ辛キムチ鍋』です!」


ヒナタが、グツグツと煮えたぎり、カプサイシンと生姜の香りが爆発している土鍋から、熱々のスープと具材をよそって雪女に手渡した。


「フーフーして、しっかり噛んで食べてくださいね!」

『キ、キムチ鍋……? 氷の妖怪である私に、こんな煮えたぎるマグマのようなものを……』


雪女は、恐る恐る熱々の豆腐とスープを口に含んだ。


『…………はふっ、はふはふっ!』


雪女の瞳孔がカッと開いた。


『な、なんだこの……舌を刺す辛さと、その奥にある豚肉と野菜の深い旨味は……! 生姜の効果で、胃袋から全身の毛細血管に向けて、凄まじい熱波が駆け巡っていく……!!』


雪女は、もはや妖怪としてのプライドも忘れ、額に汗をにじませながらキムチ鍋を無我夢中でハフハフと平らげていった。


数十分後。

そこには、猛吹雪を降らせる恐ろしい氷の妖怪の姿はなかった。


着る毛布にくるまり、血行が良くなって「頬がほんのりピンクチークいらず」に染まった、最高に健康的な美女が、熱いほうじ茶をすすりながら「ふぅ……」と幸せなため息をついていた。


『……暖かいって、幸せね。私、何百年も雪山で一人で震えて、冷え性をこじらせてイライラしてただけだったみたい……。もう、絶対にこの「着る毛布」は脱がないわ……』


雪女は、すっかり温活の虜になり、もはや一歩も動きたくない「こたつツムリ」のようなオーラを放っていた。


「血流が良くなって、お肌もツヤツヤですよ! 夏場は王都で『天然かき氷屋』さんを開いて、冬は暖かい部屋でゆっくり編み物でもしてください!」


ヒナタが笑顔でホットミルクを差し出す。


『ええ、そうするわ……。ヒナタさん、ありがとう。私、冷え性を克服して健康的に生きるわ……』


雪女は、着る毛布の裾を引きずりながら、ホカホカの笑顔で王都の「空き物件(床暖房完備)」を探しに歩いていくのだった。


「……ゆ、勇者殿。氷雪の最恐妖怪が……『極暖インナーとキムチ鍋に屈した、極度の寒がり女子』になってしまいましたぞ……」


セバスチャンは、すっかり雪が溶けて暖かくなった広場で、汗を拭いながら遠ざかる着る毛布の背中を見送った。


【場所:天界・管理室】

『…………』


神ドラマスは、無言で自分の足元を見つめた。


『雪女が……「チアノーゼ」と「3つの首の冷え」を指摘され、極暖インナーと貼るカイロでぽかぽかにされた……』

『挙句の果てに、キムチ鍋で発汗して「こたつツムリ」になった……』


ドラマスは、もはや一切の抵抗を諦め、通販サイトを開いて「特大サイズ・着る毛布」と「生姜チューブ(業務用)」をポチり、自らの神殿を最高の「温活スペース」へと改装する準備を静かに始めるのだった。

(第83話・完)


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました!


ヒナタのマイペースな異世界蹂躙はまだまだ続きます。魔王軍の胃の痛みが限界を迎える前に、ぜひページ下部の【☆☆☆☆☆】からの評価や、ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


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